革新的な作業療法士の働き方!「学校に作業療法を」
こんにちは!OTだみんです。
私は作業療法士を生業としており、作業療法の研究もしています。
ですので、新卒で病院入職した当初からデイサービスに転職した今も、作業療法について書籍や勉強会で学習しつづけています。
学生時代から買い集めた作業療法や心理学・哲学の本がせまい家に溢れていて、数は3桁に迫る勢いです。(きちんと数えたことがないので、もう超えているかもしれません)
そんな立場から、作業療法士の後輩の皆さんにぜひおすすめしたい良書を、厳選してご紹介していきたいと思います!
作業療法で一生食べていきたいと思う方や、研究に進みたい方はぜひご一読くださいね。
では、今回は未来の作業療法を描くヒントになる、「学校に作業療法を」についてご紹介します!
学校に作業療法を
概要
この本は、発達領域の作業療法士の視点で書かれています。
沖縄のある地域の小学校の子供・先生や家族が抱える問題を解決するために、作業療法をどう生かしていくか考えながら奔走するという内容です。
体験談をもとに書かれているので共感しやすいです。
また、作業療法士がどのように介入していくかを組み立てる思考が、初学者にとってもわかりやすく書かれています。
この本のイチ推しポイントはここだ!
ずばり、以下です。
- 作業療法士の新しい働き方のモデルがわかること
- 本当の意味でのチームアプローチを体現していること
- たくさんの事例が登場し、具体的に理解しやすいこと
それぞれのイチ推し項目について詳しく見ていきましょう!
作業療法士の新しい働き方のモデルがわかること
この本の中に出てくる作業療法士は、コンサルタントに近い働き方をしています。
現状の、病院や福祉施設で働く作業療法士に慣れている方は驚くと思います。
しかし、この「コンサルタントに近い働き方」こそ、今後作業療法士の理想的な働き方になると私は考えています。
作業療法士は「作業」の専門家で、作業機能障害を解決する方法を作業を使いながら組み立てるのが本来の作業療法士の本領です。
現実はまだまだ追いついてはいないですが、AI化する社会の中で、この解決方法を組み立てる能力が、コンピューターに簡単に代替できない領域としてより求められていくでしょう。
※この点については、過去記事でも詳しく述べています。
この本の中での作業療法士は、会議に参加し、支援方法を周囲に徹底すること、アドバイスをすること、本人の状態を評価することのみ行っており、基本的に、直接介入することはありません。
これはコンサルタントに近い働き方で、近い未来にはこのような働き方の作業療法士はますます増えていくでしょう。
作業療法士は直接的に介入する以外にも、このように支援を続けていく能力がある!ということを実践し、作業療法士の未来の働き方を示したという点で、この本は革新的だと言えると思います。
本当の意味でのチームアプローチを体現していること
この本を読んでいて、リハ職の意見の押し付けがないところが素晴らしいと思いました!
基本的には本人も交えつつも、家族や先生が当人に「どうなってほしいか」というNeedをもとに支援計画書を作っていきます。
この本の中では「届けたい教育」というように表現されています。
こうすることで、会議の中で、学校の先生・家族が意見や希望を言いやすくなり、本当の意味での「支援」ができるような「体制」を届けることができます。
そして、「こうしたほうが本人のためになる!」とOTが押し付けることがないです。
これは支援を持続可能にする体制をつくる上で、非常に重要な距離感ではないでしょうか。
また、この本の中にはほとんど専門用語が書かれていないのも素晴らしいです。
リハビリ職という垣根を越え、教育職や福祉職にとっても学びのある事例があると思います。
まだ専門用語をあまり知らない学生さんも、ぜひ読んでみてください!
ただ、この本の中では、方針として「抑制」という観点ではなく、「できることをふやす」という視点、いわゆるポジティブ心理学的な視点で行っており、現行のリハ評価/介入とは一線を画す介入方法になっています。
スタンダードな介入方法ではありませんので、その点だけは留意して読んでほしいと思います。
たくさんの事例が登場し、具体的に理解しやすいこと
たくさんの事例が登場するため、想像がつきやすいのも大きな特徴です!
6つの事例について、それぞれの初期評価・経過・最終評価という順で紹介されていきます。
各段階について、その評価介入を行う思考についても言及しています。
今後地域で働こうと思っているOTにとってはよい先例になると思いますよ。
そして、この本の中では、作業遂行の評価、つまり、観察評価に一番の重きを置いていて、定型的な評価(例えば発達評価「遠城寺式」など)は使用していません。
観察評価に重点を置いた評価介入について、実例をもとに学ぶという目的でも適した本だと思います。

介入対象者の子供の視点、思考、感情にきちんと寄り添っており、思わずだみんが感動して涙をながしてしまったことは秘密。
この本を読んでほしい人
すべての作業療法士、および作業療法学生さんです!
また、専門用語がなく、事例も詳細に紹介されているため、作業療法士以外の方にも理解がしやすいと思います。
医療職はもちろん、福祉や子供にかかわる人にも広く読んでほしいです。
まとめ
今回は、作業療法士の近未来の働き方を垣間見れる良書、「学校に作業療法を」をご紹介しました!
現職の方も、あるいはこれから現場に出る学生の方も、みんなで作業療法の未来について考えていきませんか?
作業療法に携わる多くの人にとって、これからを考える刺激になる一冊だと思いますよ!
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