認知症を予防する習慣とは? 作業学・心理学・医学の知見から~
こんにちは!OTだみんです。
少子高齢化で、病院や福祉施設で認知症高齢者の方をみることも多いですよね。
認知症は、誰でもなりうる可能性がありますが、もちろん進んでかかりたい人は少ないと思います。
できれば、予防していきたいですよね。
そこで今回は、認知症を専門とし、日ごろから認知症の高齢者の方と接しているOTだみんが、認知症の予防方法について詳しくご説明してまいります!
認知症の予防方法といいますが、結局は脳を衰えさせない方法と通じていますので、若い人にも一読して実践していただきたいです。
では、さっそく見ていきましょう!
認知症を予防するための大原則は?
基本原則は、”できることは自分でする”
まず、最初にすごく大切なことをお伝えします。
最悪、この話だけでも頭に置いておいていただきたいです。
「頭も体も、動かさないと使えなくなっていく」
このことを意識してほしいのです。
ですから、日常生活の中で、できることは自分でする。
これが、当たり前のようで非常に重要な前提条件となってきます。
そして蛇足になりますが、これは認知症の方を介助する方にもお伝えしたいことでもあります。
介助者の方が認知症の方に接するときは、「できることは自分でさせる」を心がけましょう。
作業学・哲学からの認知症予防法
私は作業療法士なので「作業学」と表現しますが、作業療法の源流は哲学ですので、≒哲学と考えていただいて構いません。
作業学では、「作業のバランス」が適切な状態であることでよりよい生活が送れるようになると考えています。
「作業のバランス」が崩れていることを「作業機能障害」と呼ぶのですが、これについての詳しい解説はここでは省略します。
興味を持たれた方は、調べてみてください。
”作業機能障害”の考え方をものすごく簡単に表現すると…
「みなさんの生活のバランスは整っていますか?」ということです。
ここでいう「生活のバランス」とは、以下の4つで構成されています。
- 日常生活の動作…トイレや入浴、食事など
- 仕事
- 余暇活動・趣味
- 休息・睡眠
これらがバランスよく実施できていれば問題ないのですが、何かに極端に偏ってしまっている場合には要注意かもしれません。
働き方改革が叫ばれる昨今では、長時間の労働が問題視されがちです。これは、生活のバランスが仕事に極端に偏ってしまった場合です。
一方、仕事が減り休息が増えることは一見いいことのように思われがちですが、こちらも偏ってしまい問題になることがあります。
例を挙げると、定年退職後、仕事(役割)が無くなってしまった男性。趣味を見つけることもなく、時間を持て余して暮らしている…。といった状況になると、認知症になるリスクが高まるのです。
生活バランスの考え方を理解していただけたでしょうか?
この生活バランスがしっかりしていると、認知症になりにくいですし、ほかの精神疾患、たとえばうつ病などにもかかりにくくなるのです。
参考論文▼
諸星 成美, 京極 真 身体障害を有する地域在住高齢者における作業的挑戦, 作業参加,作業機能障害,抑うつ,健康関連 QOL の構造的関連性の検証
作業療法 38:294~303,2019
心理学からの認知症予防法
心理学分野では、特に社会的交流が奨励されています。
ダンスや楽器演奏、ボードゲームをしている人は、していない人に比べ、80%認知症の発症を抑えることができます(読書だけだと40%ですので社会的交流がある活動がより効果的です)。
さらに、パソコンを使った活動を行っている人、手芸や工作をしている人はしていない人と比べ25%認知機能を維持できているなど、趣味活動に精を出すことも認知機能の低下を抑えることに効果が期待できます。
また、軽度認知機能低下の人が認知機能を取り戻すにあたり、
「積極的な知的活動の実施」
が必要であったことが報告されています。
まとめると、心理学分野からは
- 人とかかわる活動
- 趣味活動
- 社会的な活動
を実施することが、認知症予防に効果的であるとわかりますね。
医学からの認知症予防法
では、最後に医学の観点から認知症予防を考えてみます。
医学的に認知症をとらえると、
「認知症は脳の炎症が原因で、細胞が働けなくなっている状態」
と考えることができます。
脳が炎症を起こす原因は大きく二つ、
- ストレス
- 食事
と言われています。
まずは直接的な原因のこれらを改善することですね。
また、本来、炎症を抑えるために働くべき細胞が、
- 睡眠不足
- 運動不足
の結果、働かなくなることにより脳の炎症が治まらないのも問題です。
※詳しく見ていってもいいのですが、少々長くなってしまいそうですので、また別の記事を作ろうと思います!
まとめ!認知症予防の生活習慣
- 「生活バランスをよくする」…日中の、自分にとって必要な活動(家事や身だしなみ)を維持してください。仕事をしすぎないこと、寝すぎたりテレビを長時間見続けたりしないなど、それぞれの活動のバランスにくれぐれも注意してください。
- 「できるだけ他者と交流をもつ」…社会的交流が認知機能の低下を防ぐうえで重要ですから、積極的に集団に参加してみてください。たとえば公民館の行事や大学の聴講生になる、趣味の習い事を始めるなどなど…。高齢の方の通うデイサービスなども、とても理にかなった活動です。
- 「脳の炎症を起さない・悪化させない」…炎症を促進する食習慣・過度なストレスを避けましょう。また、寝不足や運動不足が炎症が治ることを邪魔してしまうこともあります。十分な睡眠と運動を心がけましょう。
ぜひ、実践してみてくださいね!
以上、OTだみんでした。
コメント