患者指導をスムーズに進めるコツ!ーHAPA理論で考えるー | 現状維持OTを脱す!

患者指導をスムーズに進めるコツ!ーHAPA理論で考えるー

患者指導をスムーズに進めるコツ コラム

患者指導をスムーズに進めるコツ!ーHAPA理論で考えるー

こんにちは!OTだみんです。

今回の記事では、結構多くのセラピストが感じているであろう、

リハビリ職
リハビリ職

患者指導うまくいかねー!(泣)

という不満や、

どうしたらうまくいくようになるのか、を考察した記事になります!

「患者指導うまくいかない」

という言葉は、病院で働いていてよく聞いたものでした。

退院時に際してや、外来のセラピストが嘆いていることが多いです。

そして、筆者は今生活期にいるのですが、ほとんどの人間が「患者指導」を忘れています。

どうしてこのような状況になるのでしょうか。

今回は、この「患者指導」について考察していこうと思います。

患者指導がうまくいかない原因とは?

そもそも、患者指導がうまくいかない原因は何なのでしょうか?

禁忌肢位を守らないとか、してはだめだと伝えたことをすぐするという話をよく聞きます。

このようなことがあると、「その人がそういう人間だから」とレッテルを貼りがちです。

しかし、それは専門家たるセラピストがすることではありません。

原因を分析しましょう!

1、認知機能の問題

まず考えられる原因として、認知機能の低下が挙げられます。

これはどの世代でも考えられます。

高齢の方だけじゃないの?とびっくりした方がいらっしゃると思うので、言っておきます。

これはなぜか。それは「うつ」があるからです。

うつ病に関しての詳しい記述はここではしませんが、うつ病になると前頭葉の活動性が低下します。

そうすると、指導がうまくいきません。

その理由は2つあります。

  • 前頭葉が働いていないので、注意機能が低下し、記憶まで落とし込めていない可能性がある
  • ワーキングメモリの低下で処理できる情報に制限が出てしまう

また、前頭葉には計画を練る部分もあります。

この部分も低下していると、未来に行動を計画すること=患者指導であるため、自分の行動を企画立案、計画できず、指導されたことを実践できないですよね。

鬱以外では、認知症による認知機能低下があります。

これはリハビリ職にはおなじみかと思います。

  • 記憶機能の低下
  • ワーキングメモリの低下

など様々なことが原因として考えられるようになります。

これらの評価を行なった上で、それでもこれらが「患者指導」に影響していない場合、次の原因を検証していきましょう。

2、自動思考

つづいて検討すべきは「自動思考」です!

一瞬、

???

と思われそうですが、

自動思考とは、その人が根底に持っている考え方、という認識で構いません。

例えば、

  • 「患者なんだから直してもらうのが当たり前」
  • 「怪我したんだから安静にしておかないと」
  • 「指導されたけど、こけたら元も子もないから」

といった考えですね。

実際に上記の考えの方は多いです。

このように考えていると、患者指導をしても定着しないのが当たり前です。

つまり、退院されると生活は一変しますが、

病院にいる間から、自ら考え、納得し、行動を選択していない場合、「動かしてはいけない」といった考えが定着しすぎて、なかなか運動をしないような生活を送る方がいらっしゃいます。

つまり、この「自動思考」が原因で患者指導が定着しない、ということになります。

3、文化・習慣の問題

最後に文化の問題です。

上記の2つに該当しないのに、全然患者指導が定着してくれない、というもの。

大体はここに集約されます。

それは、「習慣化」されていないということ。

言い換えれば、本人の「生活リズム」の中に「患者指導」が溶け込めていない、ということです。

病院の中で、本人の意思で毎日行なっていたことであればいざ知らず、セラピストからやらされていたものであれば、セラピストがいなくなったらやらなくなるのはわかりますよね?

退院すると、その人が送っていた生活、つまり文化に戻るわけです。

例えば、低いところからの立ち上がりがいくら困難だ!と本人に説明していても、普段居室で座っている、やや低いソファに腰かけたくなるでしょう。

また、いくら右腕を使わないで過ごしてください、と指導しても、荷物を持つ時に癖で右手が出てしまうでしょう。

病院にいる時間で習慣をつけるようにしていなければ、病気をする前の「本人の文化」に基づいた生活に戻ろうとするのは当たり前です。

ですので、患者指導が入院生活の中で「習慣化」をしてあげないといけませんが、なかなか定着しない、といった声がよく聞こえます。どうしてでしょうか。

患者指導で「習慣化」を行うのが難しいわけ

HAPA理論で説明される、危機感と行動変容

答えは、「健康行動を自発的に行う」レベルまで習熟していないことが原因なのです。

この考えに一番適している考え方として、HAPA理論(Schwarzer, 1992)があります。

これは「Health Action Planning Approach」というものです。この考えとマズローの欲求階層というものです。

端的にいうと、人類が健康的な行動をとることは、自然にプログラムされていないのです。

マズローの欲求階層を思い出してほしいのですが、欲求階層の下位が満たされていないため、健康的な行動を取ろうとする「自己実現」の段階までいくことで、ようやく「健康行動」をしようと計画を立てます。

つまり、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」を満たしている状態でようやく「健康行動」に目がいきます。

しかし、目がいくだけです。行動に移ろうとはそれだけではしません。

なぜなら、自己実現の欲求が出現するには、「興味」「関心」がないといけないためです。

では、「興味」「関心」があるとします。

ここまできても、行動にはなかなか反映されませんし、継続もしません。どうしてでしょうか。

この最後の段階にきて初めてHAPA理論にて説明できるようになります。

HAPA理論では、健康行動に移行するに際し、3つが必要であると言われています。

HAPA理論で必要とされる3つの要素

  • 「危機感」
  • 「行動結果に対する楽観的な予期」
  • 「健康行動に対する自己効力感」

の3つです。

字面だけでは、ナンノコッチャといった感じですね?(箇条書きだけで理解できたあなたはおそらく天才)

具体的なイメージを持ちながら、理解していきましょう!

危機感

1つ目は「危機感」です。

簡単に言えば、「お菓子ばかり食べて、野菜を食べない」生活をやばいと思うか、というところです。ここには、自分の生活を見つめ直す力、そして評価する力が必要です。BMIが高い人が、BMIが高いからどうにかしないとな、と思い返すことや、お酒好きの人が「毎日お酒をたらふく飲んでいるけど大丈夫かな」と思うことと一緒です。今回の話に直してみれば「自主トレし続けないと肩を痛める可能性があるといっていたな、、、」といった感じでしょうか。

行動結果に対する楽観的な予期

2つ目に「結果予期」です。

例えば、先程の「お菓子ばかり」の生活を送っている人が、「食生活の見直し」をする、「野菜中心にする」としましょう。どうでしょうか。

そう、おそらく「体重が減り」「疲労感が減り」「睡眠の質が良くなる」と想定することができます。しかし、「料理を作り続けることは困難」「食費が高くなる」などの負の要素もあります。実は、この負の要素も考え始める、予期すると、行動にはなかなかうつれなくなります。これが、「楽観的な予期」で必要なことです。

健康行動に対する自己効力感

3つ目は、「健康行動に対する自己効力感」です。

以前自己効力感については解説しました。以下のリンクを参照してください。

自己効力感があるため、「自分にできそうだ」と漠然と楽観視できるということですね。

HAPA理論によれば、例え危機感があって、結果予期があっても、自己効力感が働いていないと行動に移すことが難しいようです。

ちなみにですが、継続的に健康行動を行なったり、一度中断してしまったものを再開させることに必要なのも「自己効力感」だそうです。

「自己効力感」は行動を促すために超重要!ということが理解できますね。

これらを育むことが、患者指導に必要なことです。

今のあなたの患者指導は、ちゃんと上記に基づいていますか?

参考文献

尼崎 光洋煙山 千尋森 和代:Health Action Process Approachを用いた勤労者の運動量の検討.健康心理学研究 27(1).2014

Barg, C. J., Latimer, A. E., Pomery, E. A., Rivers, S. E., Rench, T. A., Prapavessis, H., & Salovey, P.:Examining predictors of physical activity among in- active middle-aged women: An application of the health action process approach. Psychology and Health, 27, 829–845.2012

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