デイサービスで働く作業療法士の感じる課題
こんにちは!OTだみんです。
今回は、わたくし、だみんのデイサービスでのリハビリで感じていることをここに書かせてもらおうと思います。2021年3月現在なので、今後アップデートしていく可能性があります。
この記事は、「デイサービス」「デイケア」で働いてみたい、と思っているセラピストに内情を体験談で教えるとともに、次の世代に向けて「デイサービス」「デイケア」へ、セラピストがどんなことが必要だ、と思っているか、を綴る目的で書いております。
就職先をどこにするか悩んでいる学生の方や、デイサービスへの転職をしたいと思っている病院勤務の作業療法士さんにむけて、少しでも実情が伝わり参考になればうれしいです。

あくまで私OTだみんが経験した範囲で感じたことですので、それを踏まえて読んでくださいね!
では、さっそく見ていきましょう!
デイサービスで働く作業療法士として考えたこと
1.本人が望むものを提供しようとしていない
デイサービスでは、作業療法士という名前では雇ってもらえません。
作業療法士と理学療法士をまとめて「機能訓練指導員」と呼称する事が多いです。
(私も病院勤務時代は知らなかったちょっとした豆知識なので、覚えておいてくださいね)
それはさておき…
近年、身体機能訓練を偏重しているデイサービスが多いことが問題だ!とだみんは思っています。
確かに運動させることは、クライアントにとっていいことなのは確かです。
認知症の悪化を抑える可能性を含んでいますし、適度な運動習慣は身体機能を維持できる可能性を大きくします。
しかし、まず大切なのはそれを本人が望んでいるかどうかであり、
- 本人が目標設定できる場に入っているかどうか
- 本人の意向が組み込まれているか
が大切であると感じています。
特に、現場で働いている身として感じるのは、本人の「どうしたいのか」「何がしたいのか」「何が得意なのか」「何をやっていたのか」を全然聞こうとしないことです。
こちら側から「〇〇しましょう」と話しかけるだけ。話を聞こうとすることはほとんどありません。
これは自分がこの施設のクライアントになったら、と想像すると本当に怖いことです。
私が利用者、高齢者であれば、
「ゆっくり雑誌を読める時間」「野球観戦の時間」「緊張感のある、体を動かすゲーム」「麻雀や将棋で他の人と対戦する」ことを望むかなぁと思います。

ゲームは対戦相手がいない場合など、仕方がない場面も出てくるとは思います。
それでも、環境を設定しようとすれば、それ以外はどうにかなるはずです。
そして一番怖いのは、上記のように「何がしたいのか」を利用者、高齢者自身が気が付くことができず、気づく機会を与えてくれない。
そして、やりたくもない運動を強制される。
ということです。
なぜ、本人が1日の過ごし方を決めることができないのでしょうか。高齢者だから?車いすに乗っているから?
違います。過ごし方を決めることができないように環境を設定してしまっているからです。
「何がしたい?」「何が好き?」
この当たり前の話すら聞いてくれず、ただテーブルの前に座っている。

そんな時間を過ごさせようとしているからです。
私は
- 初回利用時に「興味関心チェックリスト」を使って、本人の生活歴や趣味嗜好を聞くこと
- 定期的に「アンケート調査」でデイサービスの満足度を聞くことやQOL評価をすること
これがADL評価より、身体機能評価を行うより必要なのではないか、と思います。
2.数値化しない介入と、介入時間
数値化しない介入
デイサービスにきてびっくりしたのは、介入の結果を示すために、テストバッテリーを使用しない、ということでした。
私の上司は「個別機能訓練計画書に記載が必要であると書かれていないから要介護者には実施しなくていい。BIだけで十分だ」と言い放ちました。
率直に言うと「あぁ、ひどい」と悲しくなりました。
これは、主観でその人が良くなっているかどうかの判断を行っている、と自白したのと同じことです。
その結果、職員が重度の認知症だと見なしているある方は、私は介入してみて実際には認知症が重度ではないのではないかと考えています。主観で判断してしまうと、客観的な評価と食い違う認識のまま、放置されてしまいます。
時間的な都合でMMSEをとらなくても、NM-scaleなどの観察評価があります。そういった観察評価を何かしらの媒体に記録していく、そうしたこともしていない場合があります。
これでは、介入によって何がよくなっているのか、客観的にわかりません。
介入時間の短さや間接介入の必要性
次に時間です。
病院時代は、最低1単位=15分で介入していました。
また、直接介入が当たり前だったのです。
しかし、デイサービスでは「介入できない人」が出てきます。また、病院のように一人に対し15分もかけられません。なぜなら、1人で1日15人~20人程度みるところもあるからです。
機械操作や移乗、移動などが介護職員の手にあまる、介護職員が少ない、危険に気が付いていない場合は介護職員のサポートにも回らないといけなくなります。
また、送迎業務やトイレ誘導などもリハ職員がやる事態になっています。
つまり、
- リハ以外の業務が多い
- クライアント全員を直接みれるわけではない
ということ
これは、病院のリハ職員とは大きく違う点であると思います。
正直、デイサービスに就職するのであれば、リハ以外の業務が増えることを覚悟しないといけません。これは仕方ない。
後者の「全員に直接介入することができない」という点のほうが問題だと感じます。
つまり、「間接介入」にて効果を出さないといけない、ということです。
私にとってこの点が難点です。今でもそうです。
私は作業療法士なので、
「作業機能障害にならない環境をつくる」「夢中になれるような作業・活動につけるようにする」が一番かな、と感じています。
しかし、どのようにしていくのか、そこが難しい。
そこを解決することができれば、
「地域の高齢者」への「作業療法士」の「マネジメント介入」への道、つまり、「予防的作業療法」ができるようになるのではないか、と考えています。

むむむ…
だれか、一緒に研究しませんか???(笑)
まとめ
今回は、デイサービスではたらく作業療法士として現場で思ったことや考えたこと、「デイサービス」という業態の中での課題についてお伝えしました。
もちろんOTだみんの個人的な経験に基づく部分はあると思いますが、複数の施設で働いて得た実感なので、極端に偏った意見ではないと思います。
病院とデイサービスでは役割が異なりますので、それぞれの特徴を踏まえ、自分のやりたいことに近い業態に進まれることをおすすめします。
また、読者の方で、病院やデイサービス、その他の業態で働かれていて、それぞれの現場で感じたことのある方がいらっしゃいましたら、ぜひツイッターやメールで教えて下さいね!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
以上、OTだみんでした。
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