デイサービス・デイケアでの初回アセスメントにおける方針 | 現状維持OTを脱す!

デイサービス・デイケアでの初回アセスメントにおける方針

デイサービス・デイケアでの初回アセスメントにおける方針 コラム

デイサービス・デイケアでの初回アセスメントにおける方針

こんにちは!OTだみんです。

私、だみんは現在、デイサービスに勤務しています。

いままで2か所デイサービスを経験してきているのですが、病院からデイサービスに転職してきて、気づいたことがあります。

その気づいたこととは…

生活期のリハ介入は「評価」をまったくしないこと!!

(※うちはするよ!という施設がありましたら申し訳ないです。)

これから事業所のなかで、「積極的に評価し、その結果からしっかりplanを立てよう!!」というところも増えてくると思います。

しかし、正直なところ、

セラピスト、特にPTの皆さんにとって少し荷が重いのかな、と思いました。

といっても、この話の核はセラピスト個人の能力とか経験の話ではなく、

「生活期のリハビリ」というものの特殊性にあると思うんです。

病院にいるころは

「疾患を治す」

という点において、セラピスト、特にPTさんはたいへん優秀だったと思います。

しかし、生活期のリハビリの対象はいわゆる「治し終わった人」です。

そのため、疾患を治すときと同じアプローチが通用しないことが多々あります。

そんな状況に置かれたセラピストの多くは、

「い、いったいどうしたらいいのか」

と焦っている人

「痛いところをマッサージ、ROMしておけばいいでしょ」

という人

「ベッド上で筋力トレーニングしておけばいいでしょ」

という人に分かれます。

また、この混乱の背景には、そもそも何をみるのかを事業所で定めていないことが多いという事情もあるのだと思います。

残念ながら、自分自身の経験上そのような事業所ばかりでした。

(上のような混乱があてはまらない事業所をご存知でしたら、そちらでのやり方を参考に教えていただきたいくらいです。よろしくおねがいします。)

そこで、今回の話は

「初回利用時のアセスメントをどうするべきか」というお話にしていこうと思います。

デイサービス・デイケアと病院との違いを念頭におく

デイサービス・デイケアと病院との違いとして意識しなければいけないこと

デイサービスやデイケアと病院を比較したとき、より重要になってくる要素があります。

それは、

クライアント本人が、

ここの施設、嫌だなぁ…

と思ったらサービス終了される

ということです!

飛び出して実感する病院の特殊性

新卒で病院に入職し、転職してデイサービスに入ったものとして実感することがあります。

それは、病院は超特殊な第三次産業、サービス業だ、ということです。

お客様を相手にするサービス業の場合、顧客満足を最優先して業務を行うことに疑問はないと思います。

そしてこれは医療であっても同じはずです。

ですので、医療の現場においても本来はクライエント中心であることが当然視されると思いきや、そうはならないのが病院の特殊な点だと思います。

病院は「医師」が「治療を施す」という名目で絶対的な権威を持っており、患者はそれに従うしかない、というゆがんだ構造になっています。

病院もサービス業ということを前提に、改めて言語化すると、「不思議だな」って思いませんか?

そのような権威がある特殊な病院という施設では、パターナリズムが許される環境にあります。

つまり、

「こっちが評価したこと」は、お客様であるあなたがどう思おうとも「私たちが正しいので従ってもらうことが当たり前」という土壌があるのです。

そうすると、患者の声を聴こう、クライエント中心!なんて、他の業種では当たり前にしていることをあたかも「新しいこと」「斬新なこと」として掲げてしまう。

そして、そんな流れをデイサービスやデイケアも少し含んでいます。

患者・利用者は管理するもの

という考え方ですね。

生活期のリハビリの核は本人の望みをアシストすること

私は、特にデイサービス・デイケアでは

「その人が望んでいること」「やりたいこと」を早期に聞くことが大事だと思います。

そうでないと、デイサービス・デイケアのプログラムにその人が合わせるだけになってしまう。

  • 「興味関心チェックリスト」をしてもらう
  • セラピストがその人と1対1で面接(非構成的で構いません)ができるような人員配置・余裕・仕組みを作るようにする

が最低限であると思います。

興味関心チェックリストは、「生活行為向上マネジメント」という、日本作業療法士協会が推奨している介入方法のフォーマットです。

これは、作業療法士でないと使えないわけではありません。誰がつかってもいいのです。

仮に、認知機能低下に伴い、質問紙での聴取が困難な場合、APCD(認知症絵カード評価法)や、ケアマネにどういうことに興味があったか、以前何をされていた人なのかを聴取することで、デイケア・デイサービスでの過ごし方をどうするか、試行錯誤することができるようになります。

デイサービス職員は、利用者の生活歴・作業歴や興味・関心に無関心すぎます。

ぼーっとしていても放置するのは、結局「その人のことを知ろうとしていない」「利用者としてしか見ておらず、人生の先輩として敬意を持っていない」ということの現れのような気がしてなりません。

初回/体験アセスメントの作成

上記の「興味関心チェックリスト」は介護職員でも、看護師でも誰でもできる評価法でした。(ちゃんと専門的に、motivational interviewみたいに話を聞くためには、OTが一番いいんでしょうが、OTでも使ったことがない!みたいなことがざらに起きているので何とも言えません泣)

一方、心身機能に関してはちゃんとした評価が必要です。

セラピストやDr以外の方はときどき、「あの人は言ったことをすぐに忘れる。変なことをいって拒否しようとする。だから認知だ!」みたいなことを言われます。

もちろん客観的に評価しなければ認知症だとは判断できませんので、自分や周囲の直観からは少し距離をおいて、きちんとツールを使って評価しましょう。

OTだみん
OTだみん

余談ですが、私は、「認知」と認知症の方を呼称する文化が嫌いです。

そういう言葉を使う方は、認知症由来の症状やBPSDではない部分で『「認知」だから…』みたいなことを言う傾向があるように思います。

「認知症」の色眼鏡でクライアントを見て、観察や分析を行わずに安易に「認知」というレッテル貼りをするのは適切なケアとは言えません。

そもそも、「認知」は「空間認知」みたいに、「感覚→知覚したものを判断する能力」というれっきとした別の用語なので略さないでほしいのですが…

病院出身のセラピストは、なんとなく病院でやってきた経験があるので、「転倒」「危険行動」をする人をどう見抜くのか、「禁忌」や「危険」を事前に察知する能力は長けています。

しかし、病院での勤務経験がない、デイサービス・デイケアから働き始めるセラピストは、それをはじめから理解するのは難しいでしょう。

では、何を評価したらいいのでしょうか。以下にまとめました。

  • 「転倒」―「バランス評価」
  • 「危険行動」―「認知機能」「注意機能」
  • 「禁忌」―「既往歴」

ではこれらに対してどんな評価方法を使えばいいのでしょうか。

以下に私が使っている評価ツールをそのまま載せます。

ぜひ参考にしてくださいね。

  • 「転倒」―「SF-BBS」「腰背部・肩の柔軟性」
  • 「認知機能」―「キツネハト模倣テスト」「Mini-cog」
  • 「禁忌」―「既往歴聴取andケアマネからの情報」

ちなみに、これ以外にもいろんなことを評価できるのですが、

基本的にはデイでは、

  • 質問紙を極力使わないようにする
  • 使うとしても「5分未満」にする

ことが求められます。

どうしてでしょうか。

今の高齢者は「認知機能評価」を知っています。

テレビでも再三取り上げられますので、知っています。

ですので、HDS-RやMMSEをとると

「私、認知症扱いされている!」と察し、

よほどの信頼関係がない限り「馬鹿にされている」と思われてしまいます。

その結果、「利用中止」になる可能性をはらんでいます。

そのため、認知機能や高次脳機能評価は基本的には観察評価がおすすめです。

  • 注意機能であれば、MOSS attention rating scale
  • 観察評価での認知機能評価であればNM-scale
  • 質問紙の余裕があればMini-cog

がおすすめですよ!

まとめ

今回は、デイ・サービスやデイケアと病院におけるリハビリの違いから、デイ・サービスやデイケアのスタイルに合わせた初回評価方法について考察してきました。

初回もしくは体験で利用されている人は、早めにその人の情報を集めてしまわないと、他職員が対応できない、とか、わからないから放置してしまう、なんて事態も起こりえます。

ですので、早めに、的確に評価することが大切です。

この記事が、現場で働く皆様の参考にすこしでもなりましたら幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

以上、OTだみんでした!

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