作業療法士としてデイサービスで働く実情
こんにちは!OTだみんです。
私は、何度かブログでも触れていますが、
回復期/緩和ケア→デイサービス2箇所
という転職遍歴があります。
動機は、作業療法の研究をするために適した環境を選ぶためです。
私のような
「研究のためにデイサービスに転職しよう」
という人はなかなかいないと思いますが
(※いたらぜひTwitterまで!我が同志よ!一緒に研鑽しよう!)

「病院に勤めているけど、実際デイサービスってどうなんだろう」
「結婚するにあたって、病院より楽だったら転職しようかな」
「病院ではセラピスト多いから昇進しにくいけど、デイサービスだったら昇進しやすいんじゃない?」
という声をよく聞きます。
ということで、デイサービスで働くとは実際にはどうなのか、というテーマを今回は取り上げたいと思います。
では!さっそく見ていきましょう。
デイサービスで働く作業療法士がみた働き方
1、病院よりきつい?キツくない?
一番気になるのはここでしょうか。
まず答えからいきましょう。
「リハビリ」は楽になります。
内容も「ガチガチの徒手」や、しっかり1人にリハビリ、というものは特に求められません。
ひとりひとりに介入!というよりは、施設に1日いて、その中の活動全てで「リハビリ」をしてもらう、といった印象でしょうか。
実際に、徒手介入や運動指導をしない例は意外と結構います。
むしろ、病院のように付きっきりで介入する方が少なく、これが1単位まるまるとなるとさらに減ります。
また、そのため、デイサービスではリハビリに「単位」という概念がありません。
つまり、1人に最低20分という考え方がないのです。
以前勤めていた病院では、9時開始の場合、12時まで3時間、1単位20分なので、9単位が最大でした。最大9人ですね。
デイサービスでは、軽い運動指導や集団体操などを考えると、もっと多くの利用者と関わります。
AMに直接入るのは、今の私がいるデイサービスでは7人前後、前に属していたデイサービスでは5人弱です。
PMは、病院時代は、特にマンパワーが少ない病院だったので、午後だけで12単位程度こなしていました。
デイサービスでは、午後もそこまで働きません。むしろ、午前中が介入の中心であったりします。
午後は、レクレーションや集団体操もそうなんですが、おやつの時間や趣味の時間などがあり、介入時間は極端に減ります。
そして、最大の違いなのですが、多くは16時ごろにはデイサービスを退所されていきます。
病院内であれば、勤務時間いっぱいリハビリテーションを行うことを考えると、「16時」と「18時」の2時間の差は結構多い気がします。
ここまで話すと

「え?じゃあ、デイサービスの方が楽そう!」
と思われる方がいると思います。
正直、時間いっぱいまでリハビリを行い、記録をサビ残で書く、なんてことが多い病院よりは、きちんと時間には帰ることができる可能性の高いデイサービスの方が、予定を組みやすいです。
しかし、違った角度から見れば、病院よりも「きつい」「めんどくさい」ということが多々あります。
給料が安い
まず第一に給料が安いです。これは求人を見ていただければわかると思いますが、病院時代から総支給額が3万から5万安いです。
これは結構響きます。
一家の大黒柱としてデイサービスに勤務する場合、課長や施設長に昇進しなければ給料が安いままです。
そして昇給もほとんどありません。ボーナスも支給されるところとされないところがあります。
例えば2020年は新型コロナウイルスが蔓延しましたが、そのせいで利用される方が減りました。そうすれば、事業所全体も売り上げが下がるわけですから、ボーナスも減りました。
業績によってボーナスが出ないこともあるというのは、一般的な会社では当たり前のことなのですが、病院は患者が途切れることがないので、なかなかこういったボーナス削減という話は聞きません。(私の周りだけかもしれませんが…)
昇進が見込みにくい
では、昇進すれば昇給するじゃない!となります。
デイサービス自体は1990年代後半からできてきたものでして、事業としては比較的新しいです。
つまり、そんなに管理職のポストが空いていないのです。同年代で管理職のポストにありつけた人はなかなか聞きません。(これは病院も一緒ですね)
責任が重い
デイサービスにいるリハビリスタッフは、多くても4人程度。1人職場なんてこともザラにあります。
ですので、病院よりも責任が重いです。
しかも、クリニックのようにDrが常にいる、といった状況はほとんどないので(病院併設のデイであれば別ですが)、何かあれば看護師かリハビリ職員に聞かれますし、緊急事態の措置も担当します。
頼りにされる、というと聞こえはいいのですが、責任が重いという言葉の方が正しい気がします。
また、リハビリ職員が少ないこともあって、リハビリ職として成長できるか、と言われれば「比較的期待できない」と思います。言ってしまえば成長はほとんど見込めません。なぜならほとんど「治療技術」を求められないからです。
ここが矛盾していて、「責任」は重たいけど「介入技術」は求められていない。非常にアンバランスですよね。この矛盾から、デイサービスに来たけどすぐに辞めて病院に戻る人も多いそうです。
計画書などの書類仕事が結構大変!
次に、書類関係です。
実は、まだ紙媒体を使っている、、、、なんてことはもうほとんどの事業所で無くなっていくと思います。
そして、この計画書、先述のようにリハ職が少ないですから、必然的にウエイトが多くなってしまいます。
計画書作成のための時間が取れないときには、残業することもあります。立場が上になればなるほど残業している印象です。
送迎業務が大変
最後が難関です。
私は運転が上手でなかったので、これが一番緊張しました。利用者の家を覚えて、送迎に行かないといけません。
大体1人5人程度受け持つことが多いです。
これは昔はなかったと知り合いから聞きましたが、近年はリハビリ職員も普通に送迎業務が課せられます。
ただ送ればいいのではなく、「丁寧に」運転や駐車を行わないといけませんし、「狭い道」や「渋滞」もあります。
薬管理をデイサービスで行っている場合は「薬カレンダー」を見て、ちゃんと薬を持ってきているか、を確認することもありますし、送迎にいったら「全然用意ができていなかった」「拒否される中、やや無理矢理載せないといけない」こともあります。
これら全部に気を使いながら道を間違えずに時間を守って送迎、は意外と(意外か?)慣れるまで大変です。
このデメリットを鑑みても、上記のメリットに惹かれる人はぜひデイサービスに転職を考えてみてもどうでしょうか。
番外編ー研究フィールドとしてデイサービスを選んで困ったこと
倫理委員会がない
私が一番困ったのがここです。このせいで、全国学会などに研究を出すことがなかなか難しいのです。
これは、大学院進学にて解決しましたが、これから自己研鑽として研究をやって行こうと考えているものにとっては結構大きい痛手だと思います。
ぜひ、研究される方は参考になさってくださいね!
コメント