AI社会で生き残れる作業療法士になる方法 | 現状維持OTを脱す!

AI社会で生き残れる作業療法士になる方法ー作業機能障害・narrative・OBPー

コラム

AI社会で生き残れる作業療法士になる方法ー作業機能障害・narrative・OBPー

こんにちは!OTだみんです。

AIに人間が多くの仕事を奪われるという話をよく耳にするようになりました。

作業療法士を目指している学生さんや、現職の作業療法士である方も、将来仕事が無くならないか不安に思われているのではないでしょうか?

ご安心ください。本来の作業療法を行える作業療法士であれば、AI社会の到来後も、人間にしか行えない作業療法を実践できるでしょう。

しかし、以下のような現職の作業療法士の方は、危険かもしれません……

  • 先輩のやっている介入をなんとなく真似している
  • 自分のやっている介入の根拠を説明できない
  • 理学療法士と作業療法士の職域の違いを説明できない
  • 作業とは何かと聞かれて、自信をもって答えられない

あなたは当てはまるでしょうか? このページでは、AI社会で生き残れる作業療法士 と 生き残れない作業療法士の違いを、海外の例を交えて解説いたします。

結論:作業療法士はAI社会で生き残れる!(ただし、例外あります)

作業療法士は、AI社会を生き残る仕事(※世界では)

事務仕事や精巧さが求められる仕事など、多くの仕事がAIに変わっていく、と言われています。
例えば、

  • 医者が行う手術
  • タクシーの運転手
  • 銀行の管理業務

などですね。

では、どんな仕事が残っていくのでしょうか。

それは、AIが真似できない仕事です。

より詳しく言い表すのであれば、

「クリエイティブ」が求められる仕事

「人間でないといけない」仕事

です。

これらの仕事にあてはまる職業としては、芸術分野やスポーツ分野などのほか、看護師や介護士など機械では置き換えがむずかしい仕事や、レクレーションを考え、運用するレクレーションセラピストなど、顧客ひとりひとりに合った手段や問題解決方法を創造する必要のある仕事が当てはまるでしょう。

そして作業療法士もその中に入っていると世界では認識されているようです。

事実、マイケル・A・オズボーン氏が発表した論文『THE FUTURE OF EMPLOYMENT(未来の雇用)』では、なくならない仕事としてランキング6位に入っています。

作業療法士は、クリエイティブで、人でないといけない職種と世界では認識されているようです。

しかし、この事実だけでは喜んではいけません。

なぜなら、日本の作業療法士と先進各国の作業療法士には、違いがあるからです。

作業療法士、世界と日本での違い

ヨーロッパやアメリカなどの作業療法先進国では、作業療法士は「修士」でないと名乗ってはいけない職業です。

つまり、作業療法士というだけで、大学院修士課程の卒業ができるレベルの専門性を求められます。

欧米では作業療法士という職業であるというだけで、高い専門性を有している、ということがわかるのですね。

給料も日本のおよそ2倍もらえます。

一方、日本ではどうでしょうか?

日本で作業療法士になるルートには、大学を卒業する(学士)、または専門学校を卒業する の2つルートがあります。

もちろん、国家資格に合格して名乗ることができる職業ではありますが、「修士」レベルを求められる欧米との専門性の差は当然生まれてしまうでしょう。

また、大きな違いとして、アメリカなどでは作業療法士は独立開業が認められています

これは、医師の指導のもとでしか基本的に動くことが許されず、医療知識を詰め込むことを求められるといった働き方の日本の作業療法士とは大きな隔たりがあると思います

(正直、こういった構造の段階ですでに作業療法士の専門性を重視しない傾向が表れてしまっている気がします……)

以上をまとめると、作業療法先進国では、作業療法士は「高い専門性」と「クリエイティブ」を持ち合わせている職業である

しかし、日本ではそれほど高い水準の専門性が求められている職業ではないため、単純に同一視できないということですね。

AI社会で生き残れない作業療法士に足りないもの

ここまでで、冒頭、AI社会で生き残るうえで「危険」と表現した働き方をしている作業療法士になにが足りないのか明らかになりました。

そう、高い専門性と、それに基づくクリエイティブです。

  • 理由もわからず先輩が受け継いできたやり方を見よう見まねする
  • 自分の職業の専門性が何かを把握していない

これは本当によく見られる光景ですが、専門性とクリエイティブという面からみた場合、正反対の状態でもあります。

そして、そういった作業療法士が存在するのは、日本の作業療法士を取り巻く医療界の構造や教育の考え方など仕方がない面が大きいです。

ただ、このまま専門性やクリエイティブが不足した作業療法士が、ずっと生き残っていけるとは限りません。

大きな時代の変化を迎えたとき、割を食うのは、専門性を学ぶことをせず現状維持を選択した作業療法士であると、私は考えています。

では、具体的に、専門性・クリエイティブを身に着けるためにできることを見ていきましょう。

AI社会で生き残れる作業療法士になる方法

高い専門性をもて!

作業療法士に求められる高い専門性とはいったい何でしょうか?
それは、三つの概念を理解することです。

  • 作業機能障害
  • narrativeアプローチ
  • OBP

これらそれぞれを追っていくと、それだけで記事の分量がとんでもないことになるので(笑)

ここでは概観だけお伝えいたします。(詳しくは関連記事をチェックしてみてください)

作業機能障害

作業を適切に行えていない原因を、以下四つのケースに分類する考え方のことです。

  • 作業のバランスが崩れてしまう「作業不均衡」
  • 環境が整っておらずに遂行できない「作業剝奪」
  • 行っている作業に対して本人が価値を見いだせない「作業疎外」
  • 人的環境が本人がやりたい作業を妨げる「作業周縁化」

→この分類の真価は、作業が適切に行えていない原因を特定しやすくなること。

作業療法士のゴールは、クライアントにとって価値のある作業を円滑に行える手助けをおこない、well-being(幸福)を達成することです。

「作業機能障害」の四つの分類によって、クライアントがおかれた状況を整理して、スムーズに作業を妨げている要素を特定することが可能です。

narrativeアプローチ

クライアントの人生観や価値観を重視し介入を行う技術です。もともと臨床心理学の理論で、ナラティブとは「物語」という意味です。クライアントが自分の人生を物語のように語る際に、彼らの主観的な事実や解釈を重視して聞き取り、その価値観に沿った介入方法を実践します。

→この考え方は、クライアントの価値観を汲み取るうえで非常に役に立ちます。

客観的事実のみに基づいて介入をおこなうことは、ときにクライアントの価値観に反してしまうこともあります。

クライアントの反発を招いてしまってはスムーズに介入を進められないですし、クライアントのwell-beingにもつながりません。

抽象的な概念なので理解と実践が難しいですが、ここがまさに作業療法士とクライアントとの介入で発揮できるクリエイティビティだと思います。

AIに代替できない作業療法士の職域なので、ものにしたいですね。

OBP

OBPは、Occupation based practice(作業に根ざした実践)の頭文字をとったもの。作業療法は作業によってクライアントのwell-beingを達成すると繰り返し述べてきました。この前提で見ると「作業に根ざした実践」は自明のことのように見えますが、これには歴史的な経緯があります。作業療法を名乗っているのに作業を離れた実践ばかりになってしまった時期があったため、その反省として本来の作業療法の考え方に立ち返ろうという動きです。

→作業療法士の職能を考えるうえで大前提の考え方です。

そもそも”作業”ってなに?という状態から脱するためには、学んでおかなければならない考え方でしょう。

まとめ

ここまで、AI社会で生き残れる作業療法士になる方法について解説してきました。

まとめ
  • AI社会で生き残れる職業は「専門性」「クリエイティブ」を兼ね備えたもの
  • 欧米の作業療法士は高い専門性を持っているが、日本では必ずしもそうとはいえない
  • 「専門性」「クリエイティブ」を身に着けるためには、「作業機能障害」「narrativeアプローチ」「OBP」を勉強せよ

今回紹介した概念を学び始めると、思った以上に作業療法というものが奥が深い考え方だと実感すると思います。

かくいう私も勉強している真っ只中です。

学ぶ範囲の広さや深さに心が折れそうになるかもしれませんが、専門書の1ページを理解したり、勉強会やセミナーの1日に参加したりといった一歩ずつから、専門性を高めていきましょう。

とはいえ孤独なので、共に学ぶ仲間は随時募集中です(笑)

ここまで読んでいただきありがとうございました!

以上、OTだみんでした!

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