【初級編】拒否する認知症高齢者をリハビリに誘導するコツ
こんにちは!OTだみんです。
私は現在デイサービスに勤めているのですが、同じリハビリ職の方から以下のような声を日常的に耳にします。

不穏になってなかなかリハビリに出てきてくれない…
リハビリが進まない…
暴言や暴力を振るわれる…
でも、実際に入ってみると、え?聞いていたほどじゃないな…?とか全然そんなこと無いな…?と感じることが意外と多いんです!
どうしてこの違いが生まれるのか?と客観的に考え、記事にしてみました。
ですので今回は、スムーズにリハビリができるクライアントとの関わり方や、思考や感情を揺さぶってクライアントをリハビリに誘導する方法を、実践のハードルが低い方法から解説していきます。
クライアントとの信頼関係を構築する上で非常に役に立つTipsが書かれていますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
では、さっそく見ていきましょう!
パーソン・センタード・ケア
これは簡単に言えば、「敬意を払う」というもの。
あなたが病院に入院し、年下の看護や介護を受ける状況をイメージしてみましょう。
その時に、
「〇〇ちゃん」と、子どものように呼ばれたり、敬語なしで馴れ馴れしく接されたらどうでしょうか。
嫌な気持ちになりませんか?
逆に、さん付けで呼ばれたり、敬語で丁寧に話をされたら、多少なりとも快適に入院生活を過ごせるでしょう。
この、相手に敬意を払い、その人の世界観を大切にすることを
パーソン・センタード・ケア
といいます。
これは認知症高齢者への介入には必須です。
クライアントの視点からどう見えているかを常に考えながら、関係性を築いていくことが重要です。
セラピストであれば、プラスαで”どういう思考をしているか”を評価するのが大切だと思います。

ちなみに、関係性ができたのちであれば、多少の馴れ馴れしさは許されます。
また、使い方によってはわざと敬語を飛ばしたりします。
これは上級テクニックなので、また別の記事で紹介しますね!
思考・考え方の評価
これはクライアントが発する言葉と、その時の表情を見ながら感情と思考を評価することです。
これを評価する前に、
- 生活歴
- 作業歴
を評価する必要があります。
生活歴と作業歴は重なる概念なので、私は特に「作業歴」を大切にしています。
ここでは、まず「作業歴」の評価をしていきましょう。

遠回りに見えるかもしれませんが、円滑にリハビリを進めるには超有効な方法ですので、なるべく省略せず作業歴の評価をしていきましょう!
作業歴の評価
作業歴の評価とは、今までどのように生きてきたかを評価するものです。
まず、2通りの情報収集をします。
- カルテから情報収集
- 家族から聞き取り
上記2つの第三者目線の評価をおこなったら、本人から聞き取りをしましょう。
カルテから情報収集
まず、カルテで他職種が取った情報を確認します。
ここでみるのは以下のポイントです。
- どんな家族構成なのか
- どんな病気をされてきたか
- どの地域に住んでいるか
- 病前の生活はどんなものか
家族から聞き取り
次に、家族から以下のポイントについて聞き取りをしましょう。
- どんな性格なのか
- どんなことに興味があるか
- どんな職業をされてきたか
- どんな生活をされていたか
得られた情報を整理する
ここまで聞いて、本人および第三者からの情報を整理しておきます。
今回は認知症患者の思考と考え方の評価なので、特に
「どのような人となりだったか」
を簡単にまとめておきましょう。
例)
病前は夫と2人暮らし。
家事については全て本人が担当していた。
家事・育児を中心とする主婦の生活を50年行なっていた。
体調が悪くても、休もうとせず、なんでも自分で行おうとしている
手伝われることがあまり好きでなさそう、とのこと
趣味はなく、時間が空いたらテレビをみていた
本人から聞き取り
いよいよ本人と会話しながら様子を観察します。
このとき私は、
表と裏
という2面に分けて評価しています。
表、というのは「見えるもの」
評価表で出てきたものにあたります。
そして、より重要で観察が難しいのは裏です。
裏というのは「見えないもの」
- リハビリ時の行動
- 言葉尻
- 目線
- 他の人への対応
クライアントの価値観、思考に近づけるのは圧倒的に「裏」です。
無論表があっての裏なので、表の評価は絶対に必要ですよ!

どうしても時間がないときや、自分の患者さんじゃなくてフォローなどの場面では裏だけ取ったりします。
さて、ここまで「裏」を観察するときの項目について書いてきましたが、いきなり全ての項目について観察をするのは非常に難しいです。
ですので、ここでは初級編らしく、簡単に、本質的な評価を行える方法をお伝えします。
「相手がどんな単語、キーワードを多く使っているか」
をメモしてください。
正確にカウントする必要はありません。
聞き手であるあなたの直感で良いので抽出してみてください。
例えば、私の最近のクライアントであれば以下のような言葉です。
- どうにかしないとね
- 〇〇を作ってたんだよ
- 昔はもっと歩けた
といった、その人が自分自身に対し発している言葉、もしくは〇〇したいと言っている言葉をあげてください。
それがそのクライアントにとって価値観・思考の核になっている可能性があります。
ですので、その事柄に引っ掛けて注意を引くのがポイントです。

家事しないといけない!早く帰らないと!
と言いながら、リハビリを拒否している、まともに歩行器歩行もできない方がいるとしましょう。
この場合、

私、一人暮らしでしてね、なかなかうまく家事ができないのですよ。是非教えて欲しいなぁと思うんです。
と、クライアントの関心事である家事をとっかかりに会話を始めたり、

一回やってみませんか?できたら主治医に報告します。早く帰りたいですよね。
と、早く帰らないといけないというクライアントの気持ちを汲んで会話を進めるのが有効です。
カルテや家族から聞き取った「人となり」にまつわることも、ここでの切り札として活用していきましょう。
まとめ
この記事では、リハビリを拒否する高齢で認知症のクライアントに対して行えるリハビリへの誘導の仕方を、実践しやすいものについてまとめました。
重要なのは、相手を尊重すること、そして相手の価値観や重要なものに寄り添いながら会話することです。
多くの認知症のクライアントは、今いる場所がわからなくて混乱していたり、不安でいっぱいであったりします。
少しでも不安や不快といった心理的な障壁を取り除いてあげることで、リハ職のかける言葉に耳をかたむけてくださるようになりますよ!
少しでも、あなたのリハビリが円滑になる参考になりましたら幸いです。
ここまで見ていただきありがとうございました!
以上、OTだみんでした。
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