認知症と物忘れの違いは?認知症の症状解説~アルツハイマー型
こんにちは!OTだみんです。
私はデイサービスで働く作業療法士なので、高齢の認知症者と接する機会が多いです。
そのことを知っている周囲の方から、

うちの母が認知症かもしれなくて…
と相談を受けることもしばしばあります。
ですが、話を聞くと、認知症ではなくて物忘れだ!ということも往々にしてあるのです。
意外と、老化と認知症の症状の違いを介護職や看護師も知らないのです。
下手をすると、リハビリ職も知らないなんてこともあります。
この記事では、
リハビリの学生さん・新人さんには認知症と物忘れを明確に区別できるようになっていただくために、
家族に認知症を疑われる方がいる方や、ご自身が認知症かも?と疑っている方には漠然とした不安を払拭していただくために、
認知症の症状をタイプ別に解説していこうと思います!
今回は、中でもアルツハイマー型認知症について解説いたします。
では、さっそく見ていきましょう!
認知症は基本的には3タイプに分かれる
本題に入る前に、認知症のタイプについて軽く説明いたします。
まず、認知症には大きく分けて3タイプが存在しています。
- アルツハイマー型
- 前頭側頭型(pick)
- レビー小体型
ひとくくりに認知症と言っても、上記のどのタイプかによって症状にも違いがあるのです。
では、アルツハイマー型認知症について見ていきましょう!
アルツハイマー型認知症
症状ー初期
アルツハイマー型認知症は、記憶障害を主とした認知症、と思っていただいて問題ないです。
この認知症の方が何か問題行動を起こすとすると、「記憶障害」由来なものが多いです。
アルツハイマー型認知症の初期症状として現れるものに以下があります。
- 記憶障害
- 視覚認知の障害
- 自律神経の乱れ
では、それぞれについて具体的に見ていきましょう。
記憶障害
ここでいう「記憶障害」は「物忘れ」とは明確に異なるものです!
「記憶障害」は物忘れとは異なり、基本的には
出来事があったことすら覚えていない
という特徴があります。
※物忘れは、基本的には「出来事」の細かい部分の記憶がない状態を指します。
ものを何処かに置いたことは覚えているが、それをどこに置いたのかは覚えていない、と言ったように部分的な記憶の欠如はみんなあります。認知症に限った話ではありません。

現場で困るのは、物忘れが生活で目立ち始める→認知症だ!というアセスメントを平気でケアマネージャーさんといった福祉の方々がすることです。
物忘れは誰しもにありますし、物忘れの頻度が多くなることは、ただの正常な老化なんです。
問題になってくる、いわゆる認知症の症状としての記憶障害は、
- ご飯を食べたのに、「食べてない」と言い張る
- 物が所定の場所に入っていない時、自分で動かしていたのにも関わらず、「泥棒が入った」「あんたがとったんでしょ」などと他人のせいにする
このように、記憶障害にて、物事を完璧に忘れている、欠如している様子であったり、そもそも、インプットをできない可能性があるような忘れ方をしている場合は、認知症を疑われます。
視覚認知の障害
視覚認知の障害とは、目では見えているのに、「認識できない」というものですね。
イメージが難しいので具体例を出しますと、
- 子供の顔を見て「誰?」と言う。声を聞くと時間差で理解できることもある。
- 右に行ってくださいと張り紙がしてあって、ちゃんと見ているのに理解できずに左に行ってしまう
- ものが床にあるのによけずに普通に歩こうとしてつまづき、転倒する
- 目的の場所、特に行き慣れている場所にいけない。道がわからない。迷子になる(徘徊)
などがあります。
そして、このようなとき、多くは言い訳して失敗を取り繕おうとします。
これは全て視覚認知の低下、障害により起こるものです。
自律神経の乱れ
自律神経失調症は、交感神経と副交感神経という2つの自律神経のバランスが崩れることで起こる症状・疾患の総称です。
具体的な症状としては以下のようなものがあります。
- 起立性低血圧
- 食事性低血圧
- 排尿障害
- 消化管機能異常
- 勃起障害
- 発汗障害

ここまでの症状が「初期」にあらわれるものです。
続いて「中期」に現れる症状を見ていきましょう!
症状ー中期
中期は、介護がかなり必要になってくる時期でもあります。
それは、日常の動作ができなくなってくる時期だからです。
中期の代表的な症状はこちらです。
- 着衣失行
- 観念失行
- 言葉障害
- 見当識障害
では、各項目について順に見ていきましょう!
着衣失行・観念失行
先ほど書いた視覚認知の低下により、
- 着衣失行
- 観念失行
が引き起こされてきます。
着衣失行は、読んで字の如く、1人では着替えができなくなることを指します。
どこに手を通せばいいのかわからなり、これが服だ、ということも理解できなくなってきます。
観念失行は、ものを正しく使うことができなくなることです。
箸を持たせても、歯磨きをしようとするような障害のことを言います。
※これらの症状は、みんながみんな通るわけではありません。(個人差があります)
言葉障害
この時期から、言葉もおかしくなってきます。
- おうむ返しをするようになる「どうしましたか?」→答え「どうしました、か?」
- (反響言語)・言った言葉をずっと繰り返す「おはよう」→「おはよう」、「今日は天気がいいですね」→「おはよう、、、」(保続)
このようにコミュニケーションがとりづらい状況にもなってきます。
見当識障害
極付けは、「見当識障害」が起こり始めます。
- 今朝なのか、昼なのか、夜なのかわからなくなる(時間の見当識)
- ここはどこ?家じゃない?どこ?(場所の見当識)
- あなたは誰?顔が全然認識できない…(他人の見当識)
- 私は誰?わからない…(自己の見当識)
下に行けば行くほど重度です。
こうやって見当識障害が起こると、介護量が増えることは理解していただけると思います。
日常生活ができなくなり、見当識障害が出始めると、介護する側は大変なことになります。
夜中にゴソゴソしだすとか…
デイサービスに着いた瞬間に帰りたいと叫び始めるとか…
介護する側が心が病み始めるのもこの時期です…
転倒が増えてくるので、骨折などで移動が1人でできなくなってきますし、
お漏らしや便汚染などのトラブルも多くなってきます。
上の症状が多くなったら、先に準備していてもいいかもしれません。
症状ー末期
そして、最終的には寝たきりになっていきます。
元々、初期は脳の「側頭葉」、中期は脳の「頭頂葉」という部分が縮んでくることによって色んな症状が起こってきますが、最後の最後は「前頭葉」に病変が大きくなってきます。
(例外的に、中期の言語障害は、重症度を増して前頭葉に病変が広がることで起こります)
前頭葉は人間を人間たらしめる部分であり、「何かしたい」といった意欲や「運動」や「感覚」を司ります。
ここが低下してくると、
- 「何もしたくない」「ボーッとしている」
※中期からもありますが、重度になるとさらに無気力が加速します。 - 「歩けない」「立てない」「手も足も動かない」「首も動かなくなる」
- 「床ずれができるが、感覚が無いので本人は痛くない」
なんてことが起こります。
皆さんのイメージする「寝たきり」、そのままですね。
まとめ
この記事では、アルツハイマー型認知症について解説してきました。
最後まで読んでくださった方は、もの忘れと認知症の記憶障害の区別がつけられるようになったと思います!
認知症は、世界中で研究が進められているものの、いまだ確立された治療法がないのが現状です。
ですので、予防がなによりも重要です!
参考記事として、認知症を予防するために取り入れたい習慣を学べる記事を記載しておきますので、ぜひ今のうちから生活習慣の中に取り入れていってくださいね。
認知症について正しい知識を持っていれば、いざというときにも予想をたてて慌てずに準備できます。
ここまで見ていただきありがとうございました!
以上、OTだみんでした!
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