【新人向け】ESBL?感染するかもしれない中でのリハビリー体験談を添えてー
こんにちは!OTだみんです。
コロナウイルスによって、感染対策が徹底されるようになりましたが、元々病棟では結構な確率で感染症、薬剤耐性菌が出現し、感染対策を徹底した状態でリハビリ介入しておりました。
新人さんや学生さんにとっては、
「感染症?こわ!」
「なにに注意するの?」
「そもそもリハビリどうするの?」
と知らないことが多くて大変怖いですよね。
今回は、かなり噛み砕いて感染症対策下のリハビリについての知識と、体験談をここに書いていき、皆さまのお役に立てれば!と思います。
「ESBL」や感染症が流行っている時にすべきことはこれ!
まず、先程の疑問に際しては、
が基本です!
ESBLというワードになじみがない方もいると思いますので、ESBLとは何かみていきましょう。
そもそもESBLって?
ESBLとは基質特異性拡張型βラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase)の略称で、ペニシリンなどのβラクタム環を持つ抗生物質を分解する酵素である。このESBLは、 Klebsiella pneumoniae や Escherichia coli などが保有する伝達性プラスミド(Rプラスミド)上にコードされているβラクタマーゼ産生遺伝子(TEM型、SHV型)が、突然変異により分解可能な薬剤の種類を広げ、第三世代のセフェム系(CTX,CAZ等)をも分解するβラクタマーゼを産生するようになったもので、このβラクタマーゼが基質特異拡張型βラクタマーゼ(ESBL)と呼ばれている。このESBLは、クラブラン酸などのβラクタマーゼ阻害薬によりその活性が阻害されるという特徴を持っている。また、ESBL産生遺伝子はRプラスミド上にコードされているため、同菌種間はもとより、 K.pneumoniae から E.coli というように、腸内細菌科の異なる菌種間に伝達される。このため、ESBL産生菌は、主に K.pneumoniae、 E.coli の報告が中心であるが、最近では Serratia marcessense 、 Enterobacter cloacae 、 Proteus mirabiris など多菌種に広がってきており、この菌種は今後さらに増えてくる傾向にある。
(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/epid/y2005/tbkj2610/ より引用)
…なにやら、難しいですね。。
もうすこし、現場のイメージで考えてみましょう!
なぜESBL産生菌を警戒する必要があるのか
ところで、同じ感染症でもインフルエンザや風邪の場合って、ガウンきたり手袋付けたりしないですよね。
インフルエンザや風邪とESBL産生菌の違いとはなんでしょうか?
重要な違いは抗菌薬が効かない・効きづらい菌であることです。
正確には違うのですが、本来処方されている薬品では滅殺することが難しくなっている菌、と考えていいと思います。
ですので、仮に医療従事者に感染してしまうと、院内感染を引き起こします。
また、感染の経緯も異なります。
インフルエンザや風邪は「飛沫感染」です。
くしゃみなどででた感染菌を伴う液体が他の人の鼻や口といった粘膜に入って感染を引き起こします。
一方、先ほどのESBL産生菌やMRSAなどは基本的に「接触感染」です。
つまり、手袋やガウンといった防ぐものを使用していない場合、細菌が体につき、知らぬ間に色々なところと接触することで、感染を広げてしまいます。
ですので、リハビリ職などの医療職が特に気をつけるのは、
「接触感染」を引き起こすESBLやMRSAといった細菌を保有している可能性がある方が、「接触したところ」を「消毒」し、自分が感染しないように、ガウンやマスク、手袋をして対応することです。
ESBL産生菌を警戒しながらリハビリする方法
繰り返しになりますが、基本的には、ガウン・手袋・マスクを装着することが大前提です。
これが大前提になります。
接触感染なので、直に接触しないようにしないといけませんからね。
では、リハビリの内容はどうしたらいいでしょうか。
基本的には感染中は自室内でのリハビリが中心になり、多くの場所に行かないようにしなければなりません。
消毒作業はあくまで人の手。消毒する範囲が広がってしまうと、見落としや他の人に意図せぬ接触をさせてしまう可能性があります。
ですのでどうしても行動範囲を狭めないといけなくなりますね。
ESBL産生菌を警戒しながらのリハビリ体験談
介入方法に正解はないんですが、私が経験したものでよければ皆さんのヒントにしてください。
また、これに関しては、私はやや後悔しているところもありますので、逆に「こうしたらよかったんじゃない?」といったご指摘があれば指導いただけると嬉しいです。
○80代女性
○右大腿骨骨幹部骨折 骨接合術にて施行後、8wの荷重制限あり。2w→⅓ 4w→½ 6w→⅔荷重にて移行。
○元々ADL自立 精神機能にやや遅滞あり
元々、デイサービスにて他の人と交流すること、デイサービスで作品を作ること、バスに乗って外出することが本人にとって大切な作業であった。
2wのときに、ESBLが発覚。
・発覚後はまず、本人の病室での生活が自立になるよう、車椅子指導・ADL指導/訓練を実施。
ESBL菌がなかなか陰性にならず(当時私がいた病院では、陰性が3回続けて出ないと感染対策解除にならなかった)
・日中のやることとして塗り絵と雑誌を提供
ここから、本当は荷重制限下での病棟での生活を獲得してほしい、と思っておりましたが、ESBLのために実施できず。
荷重コントロールにより、歩行能力と体力を向上させることによって、デイサービスに向かう能力を育む、という思考になる。
※家が坂が多い山に住んでいるため、外出手段としての車椅子という選択が難しい。
また、車椅子での生活になれてしまうと、バスに乗って外出するという目標を忘れやすく、本人のニーズを退院後に損なう可能性があるのではないか、と考えた。
退院直前になって、家屋調査(実際に患者の家に出向いて)というすごく大切な時期に、作業療法士マンパワー不足により、PT1人に任せないといけない、という状況になり、生活にさらにオミットするプラン構築が難しくなった。
体力を維持させようと運動量を優先していたところ、患側に疼痛が出現した。これにより他職種に批判を浴びる。
正直なところ、ですね
ESBL下で作業機能障害を改善させる、かつ、今後の退院後の生活に即した介入が分からなくなりました。
他にも、7人担当をかかえておりましたので、余裕がなかった、というのも事実です。
今なら、私は
「OT介入の時間を減らすこと」
「OT介入を終了させること」
でよかったんじゃないか、と思います。
(介入時間を上げろ、という謎の圧力が上司からあり、当時の私にはおそらくその思考にはならなかったとは思いますが…。)
以上、後悔を残している介入の体験談でした。
同じ道を歩まないよう、みなさんも参考になさってください
まとめ
この記事は簡潔に言えば
- 手袋・ガウン・マスクを必ずつけること!!
- 患者が触ったところを消毒すること!!
この2点を抑えていただきたい記事でした。
また、感染症下のリハビリの体験談もお話ししました。
すこしでも、皆さまの参考になれば幸いです。
以上、OTだみんでした!
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