【新人前教育③】病院が作業療法士に求めることを知っておこう!
こんにちは!OTだみんです。
作業療法士として入職する前の新人の方にお伝えしたいことを書いていくこのシリーズ、第3回はいままでお伝えした
- 「本来の作業療法を学校で教えてくれない現状」
- 「働きながら自ら本来の作業療法を学習していくメリット」
これらを踏まえつつも、まずは働いているフィールドである病院は、一体作業療法士に何を求めているのかということに目を向けてみます。
作業療法士が本来の作業療法を行えず、エセ作業療法に終始してしまう原因には、本来の作業療法についてきちんと教えていない教育側の問題もありますが、病院や施設の環境にもあることは否定ができないと思います。
新人の皆さんは、皆さんがこれから入っていく作業療法という業界が抱えている矛盾について認識して、自分なりの向き合い方を考えるきっかけにしてみてください。
※新人前教育、第2回はこちら↓
ある作業療法士の失敗談
はじめに、なぜ病院が作業療法士に求めることを知る必要があるのか、とある作業療法士の体験談をもとにお伝えしたいと思います。
ある作業療法士は、病院入職1年目に作業モデルの重要性を学びました。
作業モデルを実践しないなら作業療法じゃない!!と思い、2年目の春に作業モデル一辺倒の介入を始めました。
しかし、周りからは
「そんなものに時間を使わないで」
「わけわからない」
と非難の嵐。
私は
「え〜〜!!勉強してないのはそっちでしょ!」
「作業療法士なんだから、作業モデル使うのは当たり前でしょう!」
と怒りと混乱、悲しみを抱えていました。
作業療法士として、作業を中心とした介入をしているのに、どうして非難されないといけないのでしょうか。
いかがでしたか?

ちなみに、とある作業療法士とは、OTだみんのことでした(笑)
一体、作業モデルに目覚めて作業モデル一辺倒の介入ばかりしたOTだみんは、どうして周囲の非難を浴びてしまったのでしょうか?
病院が作業療法士に求めること
このとき非難を浴びてしまった理由は「環境によるもの」と「自分の技術によるもの」の2つの側面があったと思います。
- 環境によるものー「作業モデル」中心の作業療法に対し、理解がない環境
- 自分の技術によるものー「医学モデル」を軽視していた、技術的に未熟だった
病院は「作業モデル」中心の作業療法になじみがない
教育の中で、「作業モデル」を教えていないというお話しは何度かしています。
いまだにそうなのですから、当然病院で働いていらっしゃる方の多くは作業療法への認識が昔の(医学モデル中心の作業療法)になっています。
そういった認識は役職や年齢に関わらず根強いものです。
新人は、入職後、先輩から医学モデル中心の作業療法を受けつぎ、ゆくゆくは後輩に受けつぎます。
また、役職をもっているような古株の作業療法士も、作業モデル中心の介入といった新しい考え方はなじみがありません。
こうして、今までのやり方「医学モデル中心の作業療法」を誰も変えようとせずに回っている環境で、そのやり方に沿わない動きをすれば、体験談のように悪目立ちして非難されてしまうこともあります。
いくら自分が正しいと思っていても、独善的に主張するだけでは理解は永遠に得られません。
相手の求めるやり方と自分の主張との妥協点を見つけたり、必要に応じて説得したり問題意識を共有したりする必要があるということですね。
これは複数の専門職が協調して動かなければいけない医療の現場でチームとして動く時に非常に重要な考え方だと思います。
「作業モデルの実践」は「医学モデルの軽視」ではない
また、当時のOTだみんは「作業モデル」に即してクライアントの作業を評価することに集中するあまり、従来の医学モデル中心の作業療法で行われている機能訓練を否定的に捉えていました。
しかし、作業モデルの考え方を深めていくにつれて、このときの姿勢は良くなかったなと反省しました。
作業モデルは、「作業」=「(すべての)経験」を通してクライアントのhealthとwell-beingに寄与することがゴールです。
こう原点に立ち返ると、機能訓練は、いい経験をするための準備と捉えられます。
もっといえば、機能訓練自体も経験、すなわち作業なのですね。
機能訓練ばかりしている人も、そういう目的の元で行なっていれば、しっかりと作業療法できているのです。
病院の中でよりよい作業療法をするために
このような経験を踏まえて、これから新人として活躍する皆さんに以下を教訓としてお伝えしたいと思います。
病院の中でよりよい作業療法をするためには、以下に気をつけて作業療法を勉強していってください。
- まずは、病院が求める仕事で合格点が取れるようになりましょう!
- 少しずつ医学モデルと作業モデルを並行して行えるようになりましょう!
まずは、病院が求める仕事で合格点が取れるようになりましょう!
病院が私達に求めているものは、医学モデル中心の作業療法であることがほとんどです。
より具体的に言えば、以下への評価や介入です。
- ADL
- 精神機能
- 上肢機能
病院で働いている限り、そういった点で評価されることからは逃れられませんし、医学モデルは作業モデルを修める上でも当然必要な知識です。
上記の作業療法を合格点レベルでできるようになることを、入職後の第一目標としましょう。
作業モデルを実践するためにも医学モデルの知識が必要
病院から求められる水準で介入が行えるようになったら、作業モデルと医学モデルを並行して行えるよう、両軸で学習と実践をすすめましょう。
当然ではありますが、作業モデルの実践においても医学的な身体や精神の知識は必須です!
けして作業モデルを実践していれば医学モデルはないがしろにしていいというものではありませんから、お気をつけくださいね!
まとめ
今回は、病院が作業療法士に求めることを知っておこうというテーマで、現場が求める作業療法と本来の作業療法士の職域にギャップがある現状をお話しながら、どういう振る舞い方、実践の仕方をすれば病院の要望を叶えながら作業療法が行えるか考えてまいりました。
いろいろな記事で折りにふれて作業モデルの実践をおすすめしている立場であるOTだみんですが、それが行き過ぎて医学モデルの軽視や勉強不足につながってしまっては、本末転倒です。
新しく作業療法士になる皆さんにおかれましては、同じ轍を踏まず、よりよい作業療法を現場で実践するヒントにしてもらえましたら幸いです。
ここまで見ていただきありがとうございました!
以上、OTだみんでした!
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