【実習攻略】リハビリ評価・目標設定講座【トップダウン・ボトムアップ】
こんにちは!OTだみんです。
今回は、リハビリ初心者の学生さんで、初めて評価や目標設定をする人に向けて、評価の方法や目標設定の方法の基礎を書いていきます。
こんな人に参考になると思います。
- 実習で初めて評価をすることになったけど、なにから手をつけていいのかわからない!
- 評価や目標設定の具体的な手順が知りたい!
- トップダウン・ボトムアップそれぞれのアプローチの違いを知りたい!
では早速、学んでいきましょう!
トップダウンとボトムアップの評価はここが違う
評価にはアプローチの方法として、トップダウンおよびボトムアップの二種類の考え方があります。
まず、それぞれの具体的な流れを見ていきましょう。
左から矢印の向きに実施していきます。
ふたつの違いは、目標設定と評価、どちらを軸にして進めるかにあります。
トップダウン
- 目標設定を最初におこない、設定した目標に対して必要な評価を行い、アセスメント、介入
ボトムアップ
- すべての評価を最初におこない、アセスメントした後、目標設定をして介入
つまり、トップダウンは目標ありき、ボトムアップは評価ありき だということです。
このことを念頭に置いて、評価の流れの具体例を見ていきましょう。
トップダウン・ボトムアップの具体例
ここでは、運動器のクライアントについて、それぞれのアプローチの例を示します。
トップダウン
トップダウンでのアプローチの流れは下記です。
- 病前の生活・本人のニーズ(デマンド)の聴取
- 画像評価にて予後予測
- 長期ゴールの設定
- クライアントの意見とすり合わせ
- 長期ゴールから逆算し評価を実施
- OFPの観点で検討
- 短期ゴールの設定・介入プログラムの設定
病前の生活・本人のニーズ(デマンド)の聴取
トップダウンでまず行うことは、病前の生活の聴取と本人のニーズの聞き取りです。
ここでクライアントがどのようなことを望んでいるかを評価します。
画像評価にて予後予測
画像評価にもとづき、予後を予測します。
長期ゴールの設定
ここまでで、長期ゴールを病前の生活を送れるようになるに設定するか、さらにアップするか、それともADLダウンを想定するのか、を決定します。
この段階で迷った場合、高齢者の場合は認知機能評価を行います。
自己管理が難しい場合で、病前は独居だったり、ある程度自立しないといけない環境かどうかを確認します。
家族関係はどうなっているのか、介護が期待できるのであれば、認知機能低下していても移動能力が確保できていれば退院先を自宅にできます。
そうでなければ施設先を選定する、という思考になります。
クライアントの意見とすり合わせ
ここで、クライエントの意見とすり合わせます。
入院期間は疾患や病棟、病院の種類によって決まっています。
その期間の中でクライエントのニーズが達成できるか、を見ます。
上記のゴールより達成可能であれば、目標設定を行います。
困難であれば、そこに近づける代替目標やENT後にリハを導入し、継続的に作業療法して目標達成を行うよう、申し送りを作成します。
長期ゴールから逆算し評価を実施
長期ゴールが定まったら、評価を使って現状を把握します。
ゴールで求められる能力と比較して何が今足りてないのか
また、ADLを向上させるにあたりなにが邪魔をしているのか
を評価します。
OFPの観点で検討
作業療法では、さらにOFPという観点で検討します。
OFPは現環境での生活が自立しているか、価値ある作業に従事できているか、という観点です。
学生は、能力があるのに使わせないような環境設定していないかな、と考えるだけで問題ありません。
具体的には、杖歩行が安定しているのに、車椅子で病棟生活を送っていないか?などですね。
短期ゴールの設定・介入プログラムの設定
以上より、方針が定まったところで短期ゴール・介入プログラムを設定していきます。
ボトムアップ
ボトムアップは、基本的には臨床では使いません
しかし、学生にはこれを求めることがあります。
ボトムアップには、完全なボトムアップと、トップダウンのエッセンスが入ったボトムアップの二種類ありますので、どちらを求められているか考えながら実施していきましょう。
ボトムアップのアプローチの基本の流れは下記です。
※基本的に臨床で使われないので、要点のみ記載しています。
- すべての評価の実施
- アセスメントの実施
- 目標設定・介入プログラムの設定
すべての評価の実施
ボトムアップでは、すべての評価を先にしてしまいます。
この場合、評価の例は以下です。
- 姿勢観察
- 基本動作評価
- ROM(全身)
- MMT(全身)
- 脳神経系の評価(すべて)
- 認知機能評価
- 高次脳機能評価
- バランス機能評価
- BI
- FIM
アセスメントの実施
評価で実施した結果を統合し、アセスメントを行います。
目標設定・介入プログラムの設定
トップダウンと同様、目標設定と介入プログラムの設定を行います。
補足:トップダウンのエッセンスを含むボトムアップについて
完全なボトムアップでは「すべての評価」を実施していましたが、トップダウンのエッセンスを含んだボトムアップでは、実施する評価項目を絞るために事前に以下を行います。
- 疾患より想定される障害部位を想起
- 画像評価にて予後予測
- 姿勢評価
- 基本動作評価
- ADL動作
- 歩行評価
介入前に、疾患から想定される障害像をイメージし画像をみて予後を予測しておきます。
さらに姿勢評価~歩行評価までの観察評価の結果から、機能低下の原因を想定し、どのように機能障害が歩行・ADL障害に繋がっているかを記載していきます。
そこから、想定した仮説を検証するために、ROMやMMTを使用して評価を行います。
実際に現場で求められる評価の流れ
何度か述べている通り、基本的に現場で使用されるのは
- トップダウン
- トップダウンのエッセンスを含むボトムアップ
となっています。
現実的にはほとんどの場合でリハビリに使える期間が限られていますので、時間的余裕を要する完全なボトムアップを実施するのはレアケースです。
最低限、トップダウンとトップダウンのエッセンスを含むボトムアップを抑えていれば、対応可能です。
まとめ
ここまで、リハビリ評価・目標設定講座と題して、評価のふたつのアプローチについて解説しました。
実習は体力的にも精神的にも大変なのは確かですが、だからこそイメトレをして十分な準備をしておけば大きく負担が減ります。
始まってしまうととにかく忙しいのが実習ですから、効率よく事前準備をして実習攻略していきましょう!
以上、OTだみんでした!
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