【実習攻略】リハビリ評価・目標設定講座【評価ポイントの選定】
こんにちは!OTだみんです。
以前、実習での介入プランを設定するうえで基本となる目標設定について、以下に解説しました。
※今回の記事は以下の内容の続き記事です。関連が深いので以下もぜひ読んでみてください!
この間、実習に来られた学生さんでうまく介入部分、評価ポイントを選定できていなかった人がいました。
簡単にいうと、評価ポイントを定めるにあたり、設定した目標と現場の乖離があったのです。
この乖離が起こってしまった原因には、評価の段階でクライアントの情報を得る手段や順番が関係していると考えます。
そこで、この記事では、実習の目標設定の事前段階として行う評価について、
- どのような順番で情報を得たらよいか?
- どのような手段で情報を得るとスムーズか?
といった点について、より具体的に記載していこうと思います。

実習をすこしでもスムーズに進めたい方は一読して損はありません!
ぜひご覧ください。
※前提として、現場では基本的にトップダウン型の評価アプローチで進みますので、その形に沿って解説していきます。ご認識ください。
では、さっそく見ていきましょう!
トップダウン型評価の詳細な手順は?
下のようなクライアントに対する評価を考えていきましょう!

足を怪我して入院。足以外は特出する低下は認められない。
「家事を任されていて、夫の世話もしないといけない。」
具体的な評価の手順は以下です。順を追って解説していきます!
- 事前情報を収集するー年齢と病前ADL
- 事前情報を収集するー作業歴の確認
- 疾患・画像の確認
- クライアントとの対面
- 観察評価(バイザーの評価・介入時に実施)
- 観察評価後の評価①ー病棟生活を自立できそうか
- 観察評価後の評価②ーOBPの検討
- 観察評価後の評価③ー面接【超重要】
事前情報を収集するー年齢と病前ADL
まずは事前情報の収集です。
年齢と病前ADLです。
どのレベルの生活をされていたのか、使用していたサービスは何かなどです。
事前情報を収集するー作業歴の確認
そこをクリアすれば、次に作業歴の確認です。
出来るだけ、その人の歴史、既往歴や家庭内で起こったこと、役割などを確認します。
疾患・画像の確認
最後に、疾患の確認と画像の確認をします。
どのようなオペをされているのか、禁忌肢位はあるのか、安静度は、どのくらい経過しているかなどです。
クライアントとの対面
ここまで来て初めてクライアントと対面です。
観察評価(バイザーの評価・介入時に実施)
次に、順当に行けば
バイザーの評価・介入を見学することができます。
ここで必要なのは「観察評価」
ここでの観察評価にて生まれた疑問点を細かい評価にて明かしていくことになります。
つまり、観察評価を失敗してしまったらアウト!!
そして観察評価にて必要なのは、以下の観点
- 基本動作能力
- ADL動作能力
- そしてそのそれぞれのやり方、使い方
です。
※上記に姿勢が関連してくる場合のみ、姿勢評価や歩行評価をすべきです。
また、ここで大体の認知機能を評価できます。見るポイントしては
- 学習…教えたことを実行でき、失敗を勉強する
- 指示入力…指示されたことを短期的に保持でき、実行することができる
- 短期記憶…短い時間の記憶。直前の会話の内容や、指導内容を守ることなど
- 見当識…自己・時間・場所
です。最低限これはみましょう。目標設定後の介入プログラムに密に関わってきます。
観察評価後の評価①ー病棟生活を自立できそうか
ここまで確認できたら、まずクライアントの方が病棟生活を自立できそうか、というものを評価します。
本人の意志を反映し、自立に持っていけそうかどうかという観点で、まずは今の生活を考えます。
観察評価後の評価②ーOBPの検討
そして同時並行でOBPを考えます。
観察評価後の評価③ー面接【超重要】
面接をするチャンスを探ろう
ここからが評価の本番。
まずは面接からです。
今の実習の体制上、面接を評価項目に入れてOK!というケースは少ないような気がします。
しかし、どうにか面接を行なってください。
チャンスは結構転がっています。
例えば、バイザー介入直後に病棟に顔を出し、話をする。
介入中、バイザーがものを取りに行っている時に簡潔に聞く。
離床課題中、となりに座り、それとなく話しかける。
などなど、短い時間のチャンスも生かすようにしましょう!
面接で絶対に聞く内容は?
では、やっと得たチャンスに何を聞くかです。
面接の手法はたくさんありますが、私の例を出すと、こんな感じです!
ダイレクトに「リハビリの目標はどうしましょうか」
婉曲に「退院したら何をしないといけない?何がしたい?」・COPM
時間がある時には、興味関心チェックリスト使用
自己意志の表出が困難であるとき、APCD(絵カード評価法)
本人にプライドや固定概念が強いとき、ADOC
と使い分けています。
ここで出てきた対象が「本人にとって価値ある作業」となります。
ちなみに基本的にはここに出てくるものは、ICFの中における「参加」になります。
「参加」が設定できれば、あとはその参加を叶えるために必要な生活を想起します。
言い換えると、自立した生活をしないといけないのか否か、それを書き出します。
例えば…
本人にとって、「夫の世話をすること」「孫を可愛がること」が価値ある作業である場合
前者「夫の世話をすること」のためには、夫の手を借りずに自立した生活を送る必要があります。
後者「孫を可愛がること」、は基本的には、自立した生活が必要でないかもしれません。
しかし、孫をかわいがることが、「どこかに連れて行き、孫を満足させること」「孫と外出すること」であればどうでしょうか。
外出できるだけの耐久性を獲得できないといけません。
つまり安定した外出手段、移動手段の獲得が必須となります。ここに、他者の手を借りずに交通機関を使用する場合、バスの使用というIADL訓練が必要になるかもしれません。
このように、想定できることはできるだけ多く出しておき、順序を組み立てます。
具体例
上記の作業抽出した方を例として、以下に記載します。
現在、車椅子での生活。誰かの手を借り、ナースコールを押して用事を済ませている。
受傷5日目でまだ炎症が強い。右股関節頸部骨折で骨接合術施行されている。
起居・移乗動作見守りにて可能。
病前は独歩でADL・IADL自立、買い物には自転車を使っていた。今回の受傷起点が自転車
だったとしましょう。
では、フローチャートを作ってみましょう。
まずは、車椅子自立を目指す。車椅子下での自立した生活。
生活リズムを整える。この時期から足が上がってくれば更衣動作自立を目指し始める。
その後、歩行器での動作獲得、自立を目指す。この時期からつたい歩き動作を徐々に始め、シャワー浴自立へ向けて介入を始める
杖歩行での動作獲得、自立を目指す。この時期から、またぎ動作訓練、入浴自立へ向けての介入を始める
杖歩行が安定してきたら、買い物動作のための独歩耐久性up、階段昇降訓練、屋外歩行訓練を始める
独歩訓練が始まれば、屋外での杖歩行である程度距離稼げるようにし、片手に荷物を持てるようにする。
ここまでで、退院の意思があれば、外来リハビリに移行し、独歩、独歩耐久性up、階段昇降を実施する
といった具合です。
ここで注意するのは、先へ先へ移行するのはOKであるが、キチンと今の生活も評価すること。
日中の生活リズムや本人なりの趣味、くつろげる時間、会話する相手や環境によって抑制を受けていないかなどです。
まとめ
この記事では、実習での評価の手法や手順について、具体的に解説してきました!
ここまでできれば学生レベルとしては95点は取れるでしょう。
そして、評価において大切なことは、今の患者がどこのステージにいるのか考慮することです。
クライアントによっては、病前のADLから1段階下げて考えないといけない人もいます。
※例えば、既往歴が多い、糖尿病や腎不全、心疾患がある、本人の意思が伴っていない、家族が自立を望んでいないなどの場合です。
実習生のみなさんのスムーズな目標設定のため、少しでも役に立てば幸いです。
実習、引き続き頑張ってくださいね!
以上、OTだみんでした。
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