余暇活動の導入をオススメする理由【日中の過ごし方改善】 | 現状維持OTを脱す!

余暇活動の導入をオススメする理由【日中の過ごし方改善】

コラム

余暇活動の導入をオススメする理由【日中の過ごし方改善】

こんにちは!OTだみんです!

作業療法士の皆さんは必ず聞いたことがあるはずの「余暇活動」。

「余暇活動」はリハビリにおいて意識しておくべき重要なものですが、あまりその意義を認識せずに介入されている方も多いのではないでしょうか?

今回は、ただの暇つぶしではない「余暇活動」の重要性とその意義について考えていきましょう!

余暇活動が重要な理由

そもそも余暇活動とは?

余暇活動とは、仕事、ADL、睡眠以外の時間で余った時間に行う活動のことです。

※ADLについては詳しく書いた記事があります。ぜひご一読ください!

この活動は、作業療法士であれば必ず意識するものです。

なぜなら、作業療法士の介入では「作業機能障害」を重要視するからです。

余暇活動が作業機能障害に与える影響

作業機能障害については、入門記事を過去に書きました。

力作ですので、曖昧な方は確認のため一度見てみてください。

作業機能障害を軽くおさらいすると、

  • 作業機能障害
    →本人が経験したい「経験」がそのままのかたちで経験できずに歪んでしまう状態
  • 作業機能障害には
    「作業不均衡」「作業疎外」「作業剥奪」「作業周縁化」の4つの類型がある

さて、この4つの類型のうち「作業不均衡」とは、以下を指します。

作業不均衡
→生活のバランスが崩れていること、

「休息」「仕事」「日常生活活動」「余暇活動」

のうち、どれかに偏ってしまっている状態

ここでいう「生活のバランス」が、作業療法で言うところの「作業バランス」にあたります。

1日の生活のバランス≒作業バランス

このバランスが崩れると精神的に崩れる、と言われています。

作業バランスが崩れるということは、具体例を挙げると

  • 働きづめで、休暇や適切な休息がとれない
  • 病気で働けなくなり、職場で果たしていた役割を失ってしまった
  • 休みの日に睡眠をとりすぎ、頭がはたらかなくてボーッとする

など、社会生活していて実はよく見られる光景です。

(つまり、お気付きの通り多くの人が実は作業機能障害の芽をもっているのですが、これは長くなるので別の記事で詳しく取り上げます)

特に、高齢者福祉施設でよく見られる光景を考えてみますと、

  • 特に何をするでもなく、何をみるでもなくぼーっと座っている利用者
  • 職員の働きかけにも反応が薄い、または消極的な反応を返す利用者

などの光景は一般的に見慣れたものではないかと思います。

これは、適切な余暇活動を提供できていないために引き起こされている側面があります。

利用者にとって、何もしない、何も感じない時間、無為と呼ばれる時間を多くしてしまうことは、抑うつやアパシーを誘発し、最終的には認知症発症、認知症悪化なんてこともありえます。

アパシーおじいさん

そうならないためにも、セラピストは余暇活動をしっかりと導入する必要があるのです。

余暇活動を導入してみよう

では、どんな余暇活動を導入するのがいいのでしょう?

余暇活動は、暇を持て余している相手になにかをやらせていればよいというものではありません。

それは、やりたくもない作業を押し付けているだけで、当事者にとっては「無為な時間」にあたるためです。

(暇な休日に、ただ庭に穴を掘って埋めるを繰り返すひとはいないですよね)

余暇活動を提供する上で重要なことについて、考えてみましょう!

余暇活動を提供する上で重要なこと

余暇活動を提供する上で重要なポイントは以下です。

  • 本人が家でやっている活動をそのまま行う
  • 余暇活動を選べるような環境をつくる
  • 本人の活動レベルに沿った活動を提供する

本人が家でやっている活動をそのまま行う

これは読んで字のごとくです。

まずはクライアントに家でやっている活動を聞く必要があります。

その時、普通に聞くだけではなく(おそらく、「わからん」と言われると思います)、興味関心チェックリストを使用すると良いと思います。

本人の作業歴と興味や関心を聞くことができれば、家での活動をおそらく聞くことができます。

読書家の場合、家から本を持ってきてもらい読書でいいですし、

朝新聞読む人なら、新聞を持ってきてもらうか病院で個人で契約してもいい。

セラピストが契約してたら、読んだ新聞を持って行ってあげてもいい。

などですね!

OTだみん
OTだみん

しかし、意外と皆さん「家でやっている趣味」がない、もしくは携帯いじり以外あまりないことが経験上わかっています。

余暇活動を選べるような環境をつくる

余暇活動の導入には病院やデイサービスの資源不足、というハードルがあります。

機能訓練ばかり目がいって、そのためにやることがない、できることがない、という事態は起こります。

私は、現実ではなかなか達成できておりませんが、余暇活動のために、iPadの導入とパソコンの導入が、一番環境面で整備できるのではないか、と思います。

iPadの場合、プライム会員になっておけば、映画や雑誌、小説を無料で楽しむことができるため、映画鑑賞や読書もできます。

無料だとYouTubeなどの動画サイトから動画や音楽を楽しむことができます。

麻雀や将棋、囲碁といった頭脳ゲームも、パソコンやiPadなら1人でもさせてあげることができます。

意外と人気なんだなぁ、と思ったのは麻雀ソリティアですかね。以前いたデイサービスでは人気でした。

他には、雑誌とスポーツ新聞の導入も経験上有効です。

あると、特に男性は食い入るように読みます。

雑誌も

  • 「オレンジページ」「LDK」とかは女性が
  • 「ペン」や「男の隠れ家」や「文藝春秋」や「GO OUT」などは男性が読みます。
  • 「じゃらん」や「クロワッサン」などはどちらも読んだりします。

本人の活動レベルに沿った活動を提供する

今までは、軽度認知症の方ぐらいまでの認知機能があれば楽しめるもの、でした。

ところが、中等度認知症より認知機能が低下している人やBPSDがある人は、なかなか上記のものを楽しめないことが多いでしょう。

それを唯一改善する点として、

  • セラピスト側/介護側が提供する「活動」が、本人のレベルに合っていない。
  • 本人のレベルに見合った「活動」を提供することが大事。

です。

OTだみん
OTだみん

実は、この点についてOTだみんは現在研究中です(笑)

ですので、あくまで仮説であり断言はできないのですが、

★本人の活動レベルを把握する→活動レベルに見合った活動を提供する

のが重要であると思います。

具体的には、

①プール活動レベルをつかって、その人の活動レベルを評価すること

②活動レベルに見合った活動を提供する

characteristics of Activities for persons with dementia at the dementia at the mild,moderate,and severe stage(Natalie G Regierら、2017)

によれば、

  • 音楽
  • 感覚活動
  • 体操

などは、難易度が低く、活動に集中しやすいのではないかと思われます。

ただ、一人でできる活動を考えると、

  • 音楽
  • ラジオ
  • テレビ

というところに選択肢が落ち着いてくるのかなと思います。

まとめ

今回は、どうしても現場での優先順位が下がりがちな余暇活動について考えてきました。

皆さんの現場でむりなく余暇活動を導入することができ、利用者さまの余暇時間が充実することを願っております。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

以上、OTだみんでした。

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