脳卒中の正しい介入基礎!
こんにちは!OTだみんです。
このページでは、脳卒中介入の基本的な概念について記載していきます。
脳外は間違った介入方法を続けていると、クライアントにとって有害になります。
そして、この重要な脳卒中介入も間違っている人が多いんです…
ですので、今回、脳卒中の正しい介入方法についての概論を書いていくことにしました!
皆さんの参考にすこしでもなりましたら幸いです。
では早速まいりましょう!
脳卒中介入基礎、まずはこれだけ押さえよう!
脳卒中の大原則ー「悪い部分をとにかく動かす」
〇大原則は、
「悪い部分をとにかく動かさせること」
今一番セラピスト業界で注目されている療法の一つとして、「CI療法」や「Shaping/課題志向型アプローチ」があります。
このアプローチは、すごく難しく聞こえるかもしれませんが、基本的には先に書いた通り、
「悪い部分をとにかく動かせ!!」
というものです。
これだけだと漠然としているので、それぞれの考え方の成り立ちを含め詳しく見ていきましょう。
注目されている療法ー「CI療法」
元々、この考え自体は、サルを用いた実験にて「学習的不使用(learned non use)」が証明されてから発展してきたものです。
この研究は、脊髄の後根を切断した猿(つまり、感覚のフィードバックがしにくいように設定したということ)は、切断された側(麻痺側)をまったく使わず、健康な側(非麻痺側)ばかりつかうようになった。
さらに、元々、麻痺側を使わず、非麻痺側ばかり使うようになることで、麻痺側の使用頻度が低下することで、脳の負の可塑性(中枢神経の運動関連領域の縮小)が発生し、巧緻性・出力が低下する。そして、麻痺側をさらに使わないようにする、という負のスパイラルに陥ります。

しかし、非麻痺側を固定し、使えないようにすると、日常生活の中でも麻痺側を使うようになるのです。そうすると、上の負の連鎖が出現しなくなるため、最低でも機能維持・使用頻度維持にはなるようになります。
ところが、固定を外してしまうと、以前の状況に戻ってしまう。また、麻痺側への課題志向型訓練を固定群・非固定群で行った場合、Uswatteらは2年後に大きく変化しなかったと報告しています。
注目されている療法ー「Shaping/課題志向型アプローチ/Transfer package」
そして、特に近年注目されている物として、「Shaping/課題志向型アプローチ/Transfer package」がありますね。
この考え方として、
「日常生活の中で悪い部分を使う時間を増やす」というCI療法の考え方をアップデートし、
- Shaping→機能訓練
- 課題志向型訓練→ADL訓練
といったようなものです。
そして、このADL訓練と兼ねていることがものすごく大切なのです。
しかし、実はこの2つの介入では不十分です。
竹林先生が2013年に発表した
A 6-month follow-up after constraint-induced movement therapy with and without transfer package for patients with hemiparesis after stroke:a pilot quasi-randomized controlled trial
では、課題志向型訓練だけの群と、+αでtransfer packageの群を比較しました。短期的には大きくは差がなかったのですが、長期的にみると、transfer packageがある方が効果的だったのです。
では、transfer packageとは何か、といいますと、「練習で得た機能改善をもとに、実生活に汎化・転移するための行動療法」だといいます。
詳しく私は勉強していないので、認識が間違っている場合は訂正いただきたいのですが、私は、
内発的動機付けにて、実生活でのタスクを本人が設定し、実生活の中で麻痺側が使えるような介入計画にする
というものだと思っています。
これは、すべての介入で言えることなのですが、
- 生活に汎化できるように誘導すること
- 内発的動機づけにて訓練を主体的に行わせること(アンダーマイニング効果)
はリハビリテーションの究極系です。
つまり、ここからいえることとして、脳卒中介入は
「悪い部分を動かせ!」
→①「動機づけ」を正しく行い、
→②「機能訓練」「ADLへの転移」「実生活への転移」を目的に自主的に訓練を導入する
といったことでしょう。
ん?ちょっと待って?と思った方へ
以上を読んでクエスチョンマークを浮かべる方も多い気がします。なぜなら、今の理論はあくまで「上肢の運動麻痺に対する介入」だからです。
それを他の運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害に汎化するな!!
と言われると思います。
そこについてお話しようと思います。
下肢への効果についての知見と考察
下肢に関しても、実は「脳卒中ガイドライン」にて、「とにかく歩く量を増やすこと」はグレードAという大変強いエビデンスが証明されています。
これは、「悪い部分」である「麻痺側」下肢をとにかく動かす、ということと同義だと私は考えています。
そして、他の脳障害に関しても、基本的には「学習的不使用(learned non use)」にて悪化していくものであり、障害部分が担っている機能を発揮できるような介入、そして②の「機能訓練」「ADLへの転移」「実生活への転移」を行っていくことがリハビリテーション介入の基礎だと考えます。
これは下肢にも言えます。車いすにずっと座って生活していると下肢筋力は低下します。なぜなら、脳が「使わない機能だ」と判断するから。脳卒中に限った話ではないのです。そして、活動量が減ったことで、本来のホメオスタシスが崩れ、自律神経が乱れて様々な症状が出現する…なんてことも机上の空論ですが思考することができます。
ちなみに、脳卒中介入の、特に感覚への介入で有名な理論として「認知神経リハビリテーション」があります。この認知神経リハビリは、Ⅰ.「感覚」をわざと使わせて、自分が感じているものと実際が「差」があることを認識させる。そして、Ⅱ.その「差」を修正させる。といったものです。これは、②「機能訓練」や「ADL訓練」に該当します。
まとめ
以上、長々と語ってきましたが、このように
「悪い部分を動かせ!」
①「動機づけ」を正しく行い、
②「機能訓練」「ADLへの転移」「実生活への転移」を目的に自主的に訓練を導入する
が基本的な脳卒中介入ですし、この考え方を応用して、今様々な理論が作られています。
ぜひ、この基本を知ったうえで、様々な理論と向き合ってみてくださいね!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
以上、OTだみんでした!
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