上肢の骨折に対する介入―基礎―
こんにちは!OTだみんです。
「上肢の骨折はOTだ!!」
と言うPTさんがいらっしゃるほど、OTに介入が任されがちな上肢。
しかし、同時に意外に介入方法が下肢や体幹ほどは広く知られていないのが上肢です。
上肢の骨折・整形外科では、共通事項があります。
今回、上肢への整形の介入基礎、概論として話をしていこうと思います。
基本的には各病院にて「プロトコル」が存在しています。
「このように疾患管理をしていきましょう!」というものですね。
それを確認しながら、画像とにらめっこし、Drと確認していくこと。これは大前提です。
しかし、「プロトコル」でカバーされる範囲以外の介入方法やADL指導などはセラピストに一任されます。
ですので、今回はそこの部分をしっかりとお話していこうかと思います。
上肢の介入で出会う頻度としては、高い順に
- 「肩関節周囲炎(拘縮肩)」
- 「橈骨遠位端骨折」「橈尺骨遠位端骨折」
- 「上腕骨近位端(部)骨折」
- 「上腕骨顆上骨折」
- 「腱板断裂」
- 「肘頭骨折」
という感じだと思います。
多少なりとも皆さんの上肢介入の参考になればと思います!
では、さっそくみていきましょう!
上肢の骨折に対する介入で気をつけることー項目別
1.ADL
上肢の骨折の場合は、移動能力が疎外されているわけではありません。
そこが体幹や下肢の骨折、疾患とは違う点です。
ですので、歩行訓練、歩行器などは関係ありません。
…と言いたいのですが、元々歩行器やシルバーカー、杖を使っていた場合は別です。
使っていた場合、上肢の固定がありますから、歩行形態がどうしても低くなります。
ADLレベルに関しては以下リンクをご覧くださいね!
多くは、そういう人達は車いすで過ごしていきます。
2.皮膚操作
股関節や腰部でもやっていく必要はありますが、上肢は特に皮膚操作が必要です。
なぜなら
「上肢のほうが筋肉が自体多い」「上肢のほうが筋肉が短い」
からです。
上肢は筋肉量が少ないため、皮膚1㎝の中に占める筋肉が下肢より多いのです。
また、筋肉自体も小さいため、皮膚と皮下組織が癒合する(くっついてしまう)と、いろんな動きに影響するのです。
ですので、上肢の骨折では皮膚操作は絶対必要です!!
やり方自体は簡単です。
手術し、切った部位(創部)を動かします。
少しでも伝わりやすいように画像で説明していきますね!
創部を動かす方法~図解~
創部を動かす方法として、以下の手順があります。
1.創部へ垂直に両手をこする(ハンカチの境目を創部と見立てて)


2.垂直に、両手ずらしてこする


3.創部の上を平行にして両手をこする


4.創部の上を平行にして、両手ずらしてこする


他の技術として、
筋の走行にそってゆっくり指をなぞるように動かす、があります。
これは特に腱板断裂や肩関節周囲炎といった肩関節では必要。
- 動かす筋肉は伸張性を確保できる
- 拘縮になりにくく、筋力も維持しやすい
基本は患部操作ができていてほしいですね!
3.装具管理
上肢に関しては、患部・装具管理をしっかりとしておく必要があります。
なぜなら、この装具管理を怠ってしまうと、浮腫→拘縮につながってしまう可能性があるからです。
基本的には、心臓より下にあるものは血流が滞りやすいと言われています。
運動量が減ったり、立ちっぱなしだったり、炎症があったりするとむくむのは下肢、特に下腿じゃないでしょうか。
なぜなら、心臓より低い位置に位置しており、心臓に送り返すためには相当の血圧が必要であるからです。
しかし、基本的には、下肢のむくみは移動・散歩などで使いますよね?なので、そこまで大きな心配はないのです(下肢のリンパが破裂した、みたいなことがなければ。)
ところが、上肢は使用禁止にすれば永遠に使わない、なんてことも起こりえます。
びっくりするかもしれませんね。いや、何かあったら使うでしょ、と。
装具で固定されたらどうでしょうか。まったく運動させないようにできます。
それは下肢も同じなのではないか、と言われると思います。
でも、私はより上肢のほうが危険だと思います。
理由は以下の通り
- 上肢は下肢より使用頻度が少ない(先述のとおり)
- 下肢より上肢のほうが、筋肉自体が短く、1つ1つが小さく、出力自体も小さい。
これは、患部操作でおなじようなことを言いましたね。同じ理由です。
つまり、
下肢は、むくみがあっても多くの人は改善させやすいが
上肢のむくみは取りにくい
のです。
そのため、「装具」の位置が失敗していると大変なことになります。
このときの基本方針は、簡単に言えば、
固定する位置が
「手が心臓より上」
になるようにしないといけません。
血液は液体です。また、浸出液も液体です。
高いところから低いところに流れます。
仮に、心臓より低い位置で、肘の屈曲角度が90度以下だったとしましょう。
そうすると、手先にあつまった液体たちは、容易に心臓に戻っていけるでしょうか。
答えはノーです。
こうした間違った管理をすることで、「創部/患部」の柔軟性が低下し、浮腫が悪化し、拘縮になります。
具体的には、手指の屈曲・伸展がしにくくなり、手関節や手内関節たちも拘縮し、可動性が低下します。
ADLで使えない手になってしまいます。
ですので、装具の位置の管理は絶対に気を付けないといけません。
4.各疾患で注意するポイント・キーフレーズ
基本的には、
- 肩-インピンジメント兆候/肩甲上腕リズム/回旋筋腱板/IST-muscle
- 肘-橈尺関節(前腕の回内外)/橈骨神経障害/尺骨神経障害/フロセのアーケード
- 手-正中神経障害/手内筋/手根中央関節/母指球/小指球
といったところでしょうか。
今回は概論ですので、いったんここまでにします。
もし、質問などありましたら、どしどしツイッターやメールフォームでご連絡くださいね!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
以上、OTだみんでした!
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