大腿骨頸部骨折・回復期リハ解説③【評価】
こんにちは!OTだみんです。
この記事は、大腿骨頸部骨折のリハビリ解説シリーズの4記事目になります!
大腿骨頸部骨折シリーズ、過去記事はこちら!
※急性期のリハビリはこちら※
※回復期のリハビリはこちら※
今回はこの続きとして、回復期における大腿骨頸部骨折のリハビリテーション、パート③として、目標設定後の評価の方法を具体的に見ていきましょう。
この記事はオンラインプリセプター、オンラインバイザーという観点で、指導内容を会話形式で行なっていきます!
登場人物

バイザーとして解説していきます!

症例に対する介入について、一緒に学んでいきます!
大腿骨頸部骨折・回復期リハ解説
大腿骨頸部骨折・回復期の目標設定の流れ

引き続き以下の症例についてです。
前回のおさらいはぜひしておいてくださいね!
A氏 85歳 女性
6月1日夜中に自宅内で転倒。起き上がれず救急搬送。
右大腿骨頸部骨折と診断。当日ハンソンピンを使用して骨接合実施。
6月10日に回復期に転棟。
現在安静度は疼痛に応じて全荷重可能

前回は目標設定に関する話をしました。
今回は、評価に関する話をしていこうと思います。

よろしくお願いします!

では、いきなりなんですが、何からやっていきましょうか。

え?えっと………ROM?

相変わらず好きですね、ROM

まったく想像ができなくて……

前回の話で、長期目標が「ADL自立/買い物動作訓練実施レベル」ということを決めたと思います。
では、今どこが足りませんか?

え?全然足りません。
まだ車いすレベルですし、平行棒で歩いても痛がっています。

ということは、まだ骨折部が完治していない、ということですか?

そ、そうですね。

完治まで待ちますか?

え?えっと、それだと、寝たきりに………

そうです。
昔のリハビリテーションは、骨折部などの状況が安定してから行っていました。
でも、現代のリハビリテーションでは、基本的には安静臥床を嫌います。
それはなぜでしょう。

え??えっと…
わかりません。

廃用の影響があるからです。
骨折も、脳外科もすべて「早期」からリハビリテーションをすることで、治療成績がいいという理論があるからです。
また、仮にそういう理論がなくても作業療法士は安静臥床を極力避けないといけません。
なぜなら、作業バランスが壊れてしまうからです。
作業バランスに関しては以前もお話ししましたし、復習であれば以下のリンクを見てくださいね!

病棟の中で自分の生活をできるようにさせてあげることは、作業療法士にとってすごく大事です!

つ、つまり?

車いすレベルでもいいので、
- 入浴
- 更衣
- トイレ
- 食事
というADL動作ができるようにすること
そして、余暇活動や仕事、休息がしっかりととれるような環境にしてあげることが必要です。
ADLのレベルや難易度に関しては、以下のリンクを参考にしてください!!

つまり、この人は、
「自分でトイレにいける」
「着替えができる」
という部分が必要ということですか?

いいところに行きました。
そうですね。その2つはできるようになれば、自分でADLをするようになるかもしれません。そうすれば、作業バランスが少しは良くなるかもしれませんね。
では、どうしてその2つができないのでしょうか?

なんででしょう…

まずは、「観察」から入ってはいかがでしょうか。
その2つを実際にさせてみて、何が障害になっているのか、評価してみては?

なるほど、まずは「観る」のですね?

そのとおり!
観察をしてみて、疑問点を出しましょう。

はい!!
行ってきます!


どうでした?

えっと、
- 両手を離して立っていられない
- 股関節の外旋と屈曲が足りずにズボンに足を通せない
って感じでした。不足でしょうか?

いえ、上出来です。
では、その2つはどうしてできないのでしょうか。
どう思います?

一つ目は、バランス能力低下、でしょうか。
二つ目は、股関節屈曲と外旋のROM低下?筋力低下?でしょうか。

いいんじゃないでしょうか。
今、自分で仮説を立てましたね。
それを、実際に評価してみて実証してみましょう!

はい!!
大腿骨頸部骨折シリーズ、おわりに
このように、評価項目の選定と目標設定を行っていきます。
実はここまでしっかりとできるセラピストは、残念なことにあまりいません!
学生時代にここまで教えてもらっていない、かつ、就職した先でもとりあえず介入し、ストレッチをしていればいいよ~、と教えられる現場もあるからです。
このシリーズを参考に、ぜひ、目標設定と評価をしっかり行える作業療法士を目指してくださいね!
ここまでお疲れさまでした。
以上、OTだみんでした!
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