そもそも「作業療法」の「作業」とは? | 現状維持OTを脱す!

そもそも「作業療法」の「作業」とは?

実習生・新人に向けて

そもそも「作業療法」の「作業」とは?

こんにちは!OTだみんです。

リハビリの実践に不慣れな学生さんや新人さんが、見落としがちな観点があります。

それは、作業療法士にとって「作業」とはなにか?ということです。

作業療法士は「作業」を介してクライアントのwell-being(幸福)を達成する職業です。

ですから、われわれの武器であり道具である「作業」とはなにかを知ることは、作業療法の本質を理解するうえで不可欠なことです。

では、早速この記事で「作業」について考えていきましょう!

作業療法士にとっての「作業」とは?

「作業」=「手作業」ではない!

作業療法と聞くと、”手芸をやったり、創作活動をしたりしているアレ”といったイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

実際には、それは作業療法の一部分にしかすぎません。

しかしながら、このようなイメージで根強く広く認知されているのも事実ですね。

これは、作業療法の歴史をひも解くとその原因がわかります。

詳しくは、「アーツ&クラフツ運動」を調べてみてください!

  • 「作業」=「手作業」ではない!

「作業」とは「すべての経験」

「作業」の定義は数多くありますが、OTだみんが経験上もっとも本質をついていると考える定義は「作業」=「経験」ととらえる定義です。

これは、吉備国際大学の京極真先生が提唱していらっしゃる考え方です。

作業とは今まで様々な経験の中で培われたものであり、今後経験するもの。

ですので、すべての経験が作業であると捉えています。

よく身障の病院で行う機能訓練も作業であり、ADL動作訓練も作業。

提供するものすべて作業なのです。

……ここまでお伝えしましたが、勘のするどい方なら、”作業がそんなに広い概念だったら、作業を介してアセスメントする作業療法士はなにやってもいいってこと!?”って思われると思います。

当然の疑問ですよね!

しかしもちろんですが、答えはNO!(笑)

では、作業療法士が具体的に「作業」を使ってどう評価・介入を行うか、考えていきましょう。

「作業」を使って作業療法を実践する

OTだみん流☆評価・介入の公式を使いこなそう

さきほど「作業」は「すべての経験」とお話ししました。

作業 = すべての経験

しかし、これでは抽象的なので、さらに ”すべての経験” とはなにか?と掘り下げます。

すべての経験とは何でしょうか?

OTだみんは、評価や介入の際、すべての経験をさらに以下の3つに分解して考えます。

  • すべての経験 = 「思考」×「感情」×「行為」

作業療法士が評価する際のすべての経験とは、「思考」、「感情」、「行為」、この三つで成り立っています。

クライアントの上記いずれか(または複数)の要素に問題がある、と評価された場合、作業療法士の出番です。

では、それぞれの要素について説明いたします。

思考

「思考」の要素に問題がある場合は思考(思路)障害です。

思考に問題が発生した具体例としましては、以下です。

  • 術後のせん妄
  • 統合失調症
  • 境界性パーソナリティー障害

感情

「感情」の要素に問題がある場合は気分障害です。

具体例としましては、

  • 躁鬱
  • 感情失禁

行為

「行為」とは、行動や言動など目に見えて観察されるもののことです。

「行為」に問題を抱える場合の具体例としましては、

  • 自殺企図
  • 食事拒否
  • 歩行不全

「思考」「感情」「行為」、これら三つの要素が組み合わさったときに、すべての経験としてクライアントに経験されます。

そして、クライアントに応じて三つのうちのどの要素に問題を抱えているのかを分析し、どのように解きほぐしていくかを考え実践するのが作業療法士の仕事です!

ここまで聞いて難しいと思われている方も多いと思いますが、実際はこの分解を知れば評価・介入の考え方はとてもシンプルになりますよ!

この「評価・介入の公式」を使った実践については他の記事で具体的を交えながら説明していきます。

具体例を知ることで、かなりクリアに実践方法がイメージできると思いますので、ぜひご覧くださいね!

まとめ

この記事では、意外に知られていない「作業とはなにか?」という基本に立ち返ってお伝えしてきました!

今回のまとめはコチラです▼

まとめ
  • 「作業」=「手作業」ではない!
  • 「作業」とは「すべての経験」である
  • 「すべての経験(=作業)」は「思考」×「感情」×「行為」に分解できる!

現状、作業療法士の評価・介入は医学モデルにフォーカスをあてる場合が多いという実感があります。

たしかに、医学モデルでの評価・介入は定量的に結果を判断しやすいのも事実です。

しかしながら、作業療法士の職域の本来は作業モデルをベースにしていることを認識しておくことは、作業療法士の本来の役割を再確認し、理学療法士との職域の違いを明確化するために重要であると思います。

作業療法士の最大の武器である”作業”を使った作業療法を身に着けて、作業療法士の本領をいかんなく発揮していきましょう。

以上、OTだみんでした!

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